2020年5月14日木曜日

釜石市 鵜住居地区の津波被害

                           釜石市 鵜住居地区の津波被害

 情に棹させば流される、それを地でやってしまったんだ。日本人であれば、誰にでもその気持は分かるはずだ。足腰の曲がった御年寄が言えば、そうするしかないだろう。協議して町の人がそう決めたんじゃさあ。防災意識の強い地元民が自らの命を守る為に進んでしていたのが避難訓練じゃなかったんだ。いつの間にか避難訓練が避難訓練とは違うものにすり替わってしまっていたんだ。そして、誰もそれに気が付かなかった。それを教えてくれたのが津波だった。その授業料となってしまった代償が大切なひとつしかない命だった。あまりにも、にがすぎる。

 しかし、知っていた人もいただろう。そして、その事実をいくら口を酸っぱくして言って話しても無駄な事なのも十二分に分かって知っていたんだろう。高台に避難している人もいるんだからさ。まあ、本人達が自ら自覚しない事には誰にもそれを知らせ教える事は出来ない。俗な言い方で言うと、赤信号みんなで渡れば怖くない、っと同じような性質だな。危険を察知する意識にマスクをしてしまったんだ。自分で考える事を辞めてしまったんだ。そして、互いに依存し集まってしまった。

 それは、今も昔も日本と呼ぶ国と日本人と呼ぶ人達の姿そのもののような気もしないでもない。まるで、それを教えてくれているようだ。今となっては、亡くなられた方々には、静かに手を合わせ御冥福を祈る祈りを捧げるだけしか出来ない。そして、二度とこのような事がないように願い後世に静かに語り伝えるばかりだ。そして、それをすれば、言われてしまう。笑われて戯け者にされてしまう。こんな風にさ。
ひょっとしたら十字架に磔にされてしまうかもしれない。

 『お大事に。』

 令和元年9月10日(火曜)晴れ 31℃ 午後12:32 世田谷区より。
8 か月前

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