2013年12月24日火曜日

 外れくじを引かせる近所のセブンイレブン



 『どうぞ。ひとつ引いてください。』


 近所のセブンイレブンで買い物を済ませて、出口に向かって歩いていると、箱を手に持った背の高い男が私に声を掛けてきました。緑色のセブンイレブンの制服を着ています。なんとなく、断わるのも気が引けるので、黙って箱の中に入っているくじを引きました。三角くじを開いてみると何も書いてありません。

 
 『あっ、はずれです!』


 セブンイレブンの店員が、私の開いたくじを見て静かな声で、私にくじが、はずれである事をおしえてくれました。当たりくじがどのような商品なのかを聞く事もせずに店をでました。そして、何となく多分箱の中には外れくじしか入っていない事が分かりました。


 そんな外れくじを引いてから、随分と期間が過ぎました。ある日、セブンイレブンで買い物を済ませて、店を出ようとすると、セブンイレブンの店員が私の前に箱を出してくじを引くように勧めます。歩みを止め、セブンイレブンの店員に笑顔を見せながら、私はセブンイレブンの店員に静かにいいました。


 『止めとくよ。どうせ外れちゃうよ。』


 セブンイレブンの若いアルバイトの男性店員は私の言った言葉に、黙って笑顔を返しました。ちょっと、その光景を店の奥から、見ていた白髪頭のセブンイレブンのオーナーの顔が目の端に入りました。そして、それ以来、そのセブンイレブンで買い物を済ませてから、くじを引くようにはいわれなくなりました。

 
 多分、顧客にくじを引かせることにより、顧客に気晴らしを提供したのでしょう。そして、その効果が売り上げに多少なりともあったのでしょう。ですが、私が云った事により、外れくじしか無い事を悟られたと、考えたのだと思います。


 今も昔も日本人の得意なお家芸のようですね。昔は、小学校に二宮金次郎の像がありました。そして、今は、コンピュータの処理速度が世界NO1とか、新幹線の走行スピードが速くなったとか、そんな国民の生活に対する関心を、他のものに摩り替えようとしています。