2013年7月4日木曜日

 鬼になってしまう日本の人達に逢うと、戸惑いと、恐れを抱いて、考えてしまう。



 『分からないよ? 中国のやることは?』


 『そんな話じゃないじゃない。』




 会社の作業場で、良く顔を合わせる奴がいる。頭の頭髪が、変に禿げ上がっている。こんな頭髪の奴を見たことがない。前髪があるけど、禿げているのだ。頭髪以外の外見は普通である。年齢は56歳だ。小さな犬を二匹、マンションに飼っていて、一緒に住んでいるのだ。




 インターネットで報道されているパールゴン学習者の臓器狩りを話し、どう思うか尋ねたのだ。生きた人間の臓器を、麻酔もかけずに体にメスを入れて取り出してしまうという、残酷というより、体が凍りつくような恐怖以外のなにものも感じる事ができない話だ。普通の日本人には、にわかには信じられない話なのだ。それを中国政府公認でしているというのだ。




 彼とは、よくどうでもよい話をしながら作業をする事がある。そして、彼が何を言っているのか、私には、はっきりと分からない。見た目は、頭髪を除いて普通なんだけど、会話のしかたに変な傾向があるのだ。話しをはっきりと出来ないのだ。自分の考えはこうなのだ。っと。そんなことで、彼が何を言わんとしているのかわからないまま適当な問いを繰り返して、話を終える。そっけない返事のときもある。



 『知らね。』




 そんな彼は、自分では分かっていないのですが、鬼になっているのだ。人間の心を忘れてしまった、恐ろしい鬼にです。彼に話し掛けて、彼が振り向く顔は、鬼そのものの顔なのだ。もちろん、暴力を振るうような事はありません。紳士的でもあります。でも、彼の心には鬼が住み着いているのです。




 彼は、何時の間にか鬼になってしまったのだ。何が、彼を鬼にしたのかわは分かりません。食べ物でしょうか? 世渡りをしている間の世間の冷たい風なのでしょうか? わかりません。出来たら彼と話をしないで、作業ができたらと、思う事が、良くあります。彼には、申し訳ないとは思っていますが。そして、私の良心が、私を、そのことで時々責めます。朱に交われば赤くなると言います。それを畏れるのです。自分自身の意思に反して、彼のような男になってしまうことを畏れるのです。




 確かに究極の状態では、人間は一匹の恐ろしい動物のような事をすると世界の歴史が私達に教えています。しかし、日本は今極限状態じゃないはずだと思うのだ。飢えや渇きのような体が求める、自然の欲求が私達に、強烈にせまるような訳の分からない極限状態では、人間が一匹の動物になってもしかたがないでしょう。でも、今は戦争状態でも、極限状態でもないはずなのに、彼のように鬼になってしまうのだ。離れ小島で1人暮らしているいるような、鬼に。




 多分、それは日本には健全な精神衛生と心を正気に保つ視野を持つ報道が成されていないのだと思う。人間が人間でいるために、必要な視野を持つ報道がないのだ。人間の心でいるための、報道がないのだと思う。新聞やテレビ報道では、謎賭けのような報道ばかりです。何を報道しているのでしょう? 一体? 私達は目の見えない盲目なのでしょうか? 何も分からない人なのでしょうか? ひどいよなぁ~。本当に。