2014年5月11日日曜日

 昔の人が言う、せちがらい世の中ってこれかあ!


 赤と緑色の店の制服を着ている若いお姉さんが、曖昧な笑顔を私に見せて笑いかけます。ここは桜新町のコンビニ店の店の中です。

 『しっかりしてんなあ! 普通言わないぜ、そんな事。いやあ~、しっかりしてるよ!』

 私は、レジをしている髪を後ろに束ねた20代のお姉ちゃんの顔を見ながら、呆れたように言いました。実は駒沢オリンピック公園まで散歩に行ってきた帰り道なのです。朝早くから家を出て、健康の為に歩いてきたのです。ですが、ちょっとお腹が痛くなってきて、コンビニでトイレを借りたのです。

 まあ、そんな事で何か購入しないと気が咎めるので、スターバックとモンカフェのコーヒーパックをレジの白いテーブルに乗せて会計をしてもらったのです。すると、彼女すました顔してこんな事を言いました。

 『何千円以上お買い上げの方にくじを引いてもらっています。』

 そういいながら、赤い紙で出来た大きな箱をレジカウンターのテーブルの上に置きます。私は別段驚きもせずに、尋ねました。

 『当りくじ入ってんの? がっかりするからさあ、はずれると。』

 チラっと顔を上げ私の顔を見て、事務的に応えました。そして、くじ箱をさっさと後ろに下げようとします。

 『ありますよ。』

 まあ、せっかくなのでくじ箱の中に右手を入れるとたくさんのくじが山盛りはいっていました。一番上のくじを箱から出して、見ると黄色い小さな紙の上に20円と書いてありました。彼女はそれを見て、私の右手にあるくじから目を離す事なく言いました。

 『次のご来店のとき、ご利用ください。』

 そして、呆れて私は言ったのです。いやあ~、普通そんな事言わないよ。20円ばかりでさ。世の中、現金で動いているんだよね。それなのに、20円の当りくじを次のご来店のとき持ってきて利用しろなんてさあ。いやあ~、ほんと驚いたよ。

 普通だったらさあ、20円当りなので会計から20円分引きますね、って言うよ。それが、たかだか20円の当り券を持って次の来店のとき使えってんだもの、何を考えているんだか驚くよ。あまりのせこさにね。

 確かに昔、田舎に住んでいたときに近所の人達が話していた話の中で言っていた事を思い出しますよ。

 『せちがらい世の中になったね。』

 、ってさ。