2014年12月28日日曜日

 本当に、危ない危ない東京の不動産屋

 二日前の午後の事でした。左腕にしている腕時計の針は4時を回っていたと思います。軽自動車の後部座席に座っていました。そして、私は、思い切って言いました。

 『あれは、無理だわあ!』

 運転しているのは、京王線の桜上水駅から歩いて数分のところにあるベストなんとかと呼ぶ不動産屋の年配の男です。茶色のブレザーと何色だか分からない灰色の木綿製のチエックのワイシャツを着ています。彼が、私の答えを待っていたように、身構えていた体の力を抜いた気配がしました。実は、一戸建の賃貸物件を見てきたのです。まず、鍵が鍵穴に入らないぐらい古い物件です。

 なんとか、ガラスのサッシドアを開け中に入りました。最初に目に付いたのが、板張りの台所です。相当古いです。考える事なく台所と下の板張りの洋間とも言えない部屋を見て回りました。二階への階段を上がり小さなこま切れの部屋を見て畳の上を歩きました。12月の後半です。結構冷たい空気が部屋に充満しています。

 いやあ、本当に小さい一戸建ての建物です。裏道の道沿いに建っていて、何を考えたらこんな物件を人に紹介出来るのか分かりません。車の中で、思いついたように私は言いました。

 『あっ、でも、この物件礼金なんてあるのかなあ。』

 そう言いながら、不動産屋がプリンタで打ち出した物件案内のA4サイズ用紙を肩からぶら下げていた鞄から取り出して見ました。そして、礼金敷金が各1ヶ月と書いてあるのを不動産屋の男に告げました。

 『あっ、礼金敷金がそれぞれ、1ヶ月って書いてありますね。へえ、あんなのでも礼金を取るんだ。』

 運転している不動産屋の男はなかなか人懐っこい、気立てが良さそうな顔をしています。しかし、わかって私にあの物件を紹介したのです。さも、調べて紹介したように見せかけていましたが、知り合いの物件なのでしょう。

 しかし、間抜けな男に見られてしまったようです。今インタネットで物件を検索してみると遥かに段違いの優良物件がたくさん見つかりました。礼金敷金はもとより、連帯保証さえいらない新築物件がたくさんあります。中古物件と新築物件の値段が変わらないのにも気が付きました。そして、そんな優良物件がインターネット上にはふんだんにあるのです。気が付きませんでした。

 もはや礼金敷金を取る物件では、入居者が入らないのでしょう。尋ねまわった不動産屋に、こんな事を言っていた不動産屋の女性がいました。

 『もう3年入居者が入らないんですね。家主から預かっていて申し訳なくて。』

 その部屋は最新の設備があるにもかかわらず、陽が少ししか入らない上に、敷金礼金を1つづつ取るのです。その不動産屋の女性には部屋を紹介してもらって申し訳ないが、誰も入らないでしょう。玄関のチャイムにたいしてもカメラに映った訪問者の顔が映るといいました。床暖房もついています。エアコンもそれぞれの部屋に最新のエアコンを設置しているのです。

 こんな不景気で敷金礼金を取る物件に入る入居者は少ないと思いますよ。ましてや若い人はインターネットを駆使しているので、入居は難しいでしょ。いやあ、本当にインタネットから不動産屋が占有していた情報を個人が自由に入手出来る時代になったのです。

 決して慌てて不動産屋の勧める物権に手を出しては駄目だってことです。充分にインターネットを駆使して情報を集めてから、物件を選択するべきだ。