2011年5月4日水曜日

レモンも顔真っ青状態になる、世界一すっぱい夏みかん

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『ばっばさん、夏みかんひとつ頂戴!』


 『ああ。いいよぉ。持っていきなぁ。』



 裏の畑の持ち主である、たがやのばっばさんに声を掛けました。ばっばさんはじっちさんとふたり仲良く暮らしています。ふたりは高齢の年寄りです。畑はこじんまりとした大きさで、ばっばさんの家の後ろにあり、家は街の中にあります。夏みかん、杉の木、イチジクの木が畑の端に植えてあります。そんな夏みかんの木から、たわわにに実っている大きな黄色の夏みかんをひとつもぎってテーブルの上に置きました。お袋さん、姉さんと弟でテーブルを囲んで夏みかんを食べようと相談したのです。しかし、年に一度食べるかどうかの夏みかんです。凄くゴツゴツの皮が厚くて普通の握力では、剥くことが出来ません。夏みかんのお尻に十字の切れ目を包丁で入れます。そこから、親指を押し入れて皮を剥いて行きます。小さい頃食べた、昔の夏みかんの話です。



 皮を剥いた中から出てきた房をひとつ出して、実をだすとギッシリと小さい細胞が出てきます。それを、白い皿に盛った白い上白糖に付けてから、口に入れます。



 『すっぱ~い。』


 『すっぺ~。』



 ほっぺたにある唾液が、どっと出てくるのが分かります。上白糖の甘さと、夏みかんのすっぱさが溶け合うのにちょっと時間がかかります。その間、口の中の酸っぱさに耐えるために唇をすぼめ、身を震わせています。ビタミンCの塊のような、根性のある酸っぱさです。数えるぐらいで、たまに食べるには、良かったのかもしれません。でも、遠い昔に家族で食べた、あの酸っぱさをもう一度味わって見たいと思うこの頃です。



 こんな夏みかんのような人もいます。取っ付きにくくて、付き合えないような人でも、なにか切っ掛けがあると、そこから仲良しになって以後付き合う人です。ひょっとしたら、世の中や人や物事とうまくやっている人とは、このような上白糖を付けて、自分に合わせて付き合っている人なのかも知れません。でも、現在はイチゴでも、スイカでも、夏みかんでも、同じような味と食感を目指しているようですね。



 『甘~い、柔らか~い、美味し~い。』



 日本人もそのように、なっているようですね。均一人間、金太郎飴人間と言い出したのは何時頃からでしょう。どうしても、一極集中になっていくようですね。




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