2011年5月4日水曜日

好奇心を掻き立てる女性お坊さん




 『それは、何ですか?』


 私は、この言葉を3回言いました。その度に好奇心が、体のどこかで頭をもたげ、騒ぎました。しかし、その問に彼女は答えようとはしませんでした。彼女は引退したお坊さんです。頭の頭髪は、短くバリカンで坊主頭にしてありました。白髪などは無く、黒い頭髪でした。足の具合が悪いらしく、太った体で杖を使っていました。お寺のお坊さんが良く着ている黒い服を着用していました。

  
 『お坊さん何ですか?』
 『引退したんだけどね。定年退職で。』
 『へえ。退職したんですか? どうなんですかね。お坊さんって、儲かるんですか?』
 『お金より、大切なものがある。』
 『それは、なんですか?』
 『・・・・。』
 『お金より大切なものって、・・・何ですか?』
 『・・・・・。』
 『でも、お金より大切なものって、・・・・・何ですかね?』
 『・・・・・。』


 彼女は、その問いには答えたくないようなのです。その理由はわかりません。彼女に聞いてみないと何とも言えません。偉い修行をした、お坊さんの言葉を期待していたのです。


 『風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞いても、それがどこから来て、どこへ行くかを知らない。』


 と云ったような、身の内が痺れてしまうような、言葉を耳から聞きたいと思ったのです。そして、このお坊さん、生臭坊主ではないのかと、怪しからん事もチラと考えてもいたのです。しかし、生臭な言葉が、結構まかり通っています。以前、こんなフレーズが流れました。


 『コレステロールが悪いんだよ、コレステロール。油だね。控えて下さい。』


 人々の耳に行き渡ると、次はこのようなフレーズに変わりました。


 『塩だ、塩。塩の取り過ぎが悪いんだ。塩分控えめに。』


 日本の宗教は、元来仏教でした。その仏教を信奉している人達に、海外の人が言いました。


 『仏教より、大切なものがある。』
 『それは、何ですか?』
 『・・・・。』
 『それは、何でしょう。』
 『・・・・。』
 『でも、それは何でしょうか?』
 『それは、キリスト教だ。』


 まあ、そのように云ったかどうかは、さだかではありませんが、そんな事でキリスト教が広まったのではないでしょうか? 女性のお坊さんの真意はなんだったんでしょう。ひょっとしたら、世の中や、人を迷わすような、あっち向けホイを、したのかもしれません。


 『あっち向いて、ホイ!』


 日本人って、分かったような顔して、上面だけで、建前だけで行こうとしてないかなぁ・・・。


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