2011年5月2日月曜日

日本の若者と、定年退職者との低レベルの戦い




 『しっかり、しなさ~い!』


 そこは、田園都市線の宮前平駅のロータリです。天気の良い夏の日に、そこに立っていました。川崎市の宮前区役所に用事があって、宮前平駅で電車を降りたのです。駅前のロータリに立ててある地図掲示板を眺めていました。すると、どこからともなく、男の怒鳴るような、大きな声が聞こえてきました。見ると、白い半袖ワイシャツに灰色のズボンを履いた、背の高い体の大きな男の人が、駅前のスーパで買い物をした後なのでしょう。右手に買い物を入れた、白いビニール袋を持って、素足でサンダルを履いて立っています。なにやら、若い男2人に声を掛けているのです。若い2人は歩道の縁石に腰をかけて、お互いの顔を見合って可笑しそうに笑っています。


 『しっかり、しなさ~い!』


 ふただび、同じ男性の叱咤激励が大きな声で、ロータリ全体に響き渡りました。言われている、若い2人を見ると、確かに、だらしなく歩道の縁石に座り込んでいます。何となく、何でもいいような、だらしない顔をしているように見えます。しかし、男性の怒りの声にクスクス笑っているだけです。喧嘩のような、争いになるような怒鳴り声なのですが。はて、何故なんだろうと、男性を見ました。どうも、男性は酒に酔っているようなのです。そして、灰色のズボンの社会の窓が、だらしなく開いて、白い下着が顔を出しているのです。どうも、定年退職して、仕事を何もしていない人のようなのです。それで、若い2人は、怒る事無く、クスクス笑っているのです。


 『しっかり、しなさい!』


 男性が、若い2人の後ろまで、歩いてきました。そして、同じ言葉を繰り返し云いました。2人は、縁石に座ったまま振り返り、男性の言葉に笑顔で、うなずきました。男性は満足したように、その後は黙って上り坂を歩いていきました。自分のズボンの社会の窓が開いているのも気づかずにです。


 私の親父さんや、おふくろさんも、同じように若い私に言っていました。飽きる事無く、事あるごとにです。言っても駄目だと思うけど、言わずにいられない、と言った風にです。


 『しっかりしろ~。ほんとに。』


 ある日、その言葉を口にした、親父さんに私は言いました。


 『大丈夫だよ。親父さんだって、若い頃、大丈夫だったんだろ。』


 すると、驚いたような顔をしました。ひょっとして、お前、俺の若い頃を知ってるのか、と云った表情です。そうなんです。人にいうよりまず、自分のズボンの社会の窓が、閉まっているのを確認すべきなのです。多分、悪しき習慣になっているのです。世間様を見渡すと、たまに、こんな両親を見ることがあります。そして、人は皆そうなのでしょう。自分の自尊心を保つために、力の無い者を批難するのです。



 中国の孔子でしょうか、言っています。



 『自分の家の庭が汚れているのに、人の家の庭の汚れを批難するべきではない。』

 

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