2011年5月4日水曜日

いつまでも分からない人と東日本大震災復興促進




『竿を倒して巻くんだよぉ。釣れると分かったら、他の人が来ちゃうだろう。』



 中学生だった頃、家の近くに海があり、突き出ている堤防に登って、良くいしもち釣りをしました。銀色の魚体をしていて、ちょっと鮒を細くしたような魚です。いしもちは、季節に関係なくいつでも釣れたような気がします。でも、大体冬に釣る人は少なく、春夏秋に釣り人が多くなります。ある日の夏の午後に、堤防でいしもちをひとりで釣っていました。その日はいしもちが、よく釣れる日でした。竿を立て、リールを巻いて、海面に銀色の魚体が小さな飛沫を上げて滑るように近づいて来るのを見ていました。すると、親父さんが散歩に来ていたのでしょう。私の側にに来て、声をひそめて云いました。釣れている事が他の人に分かって集まってしまうから、場所が悪くなるとの考えらしいのです。



 親父さんの云う通りにしました。その日は、日が良いのか次々にいしもちが掛かって来ます。でも、なんでしょうか。親父さんの云う通りに竿を倒して、周りの人に釣れた事が分からないようにリールを巻くと不思議な事が起こります。今まで、釣れたいしもちが針から外れることがなかったのですが、良く外れます。何か、ちょっとがっかりしていると、兄がやって来ました。そして、いしもちが掛かると、親父さんの云った通りに竿を倒してリールを巻いていると、云いました。



 『竿を倒して巻いていると、魚が外れちゃうぞ。』



 それを、聞いて納得しました。何度も魚が釣り針から、はずれていて失望感を味わっていたのです。それからは、竿を立ててリールを巻き出しましたので、魚が手元に来るまで外れなくなりました。親父さんが云ったのは、それなりの損得勘定を考えて、いじけた根性を発揮したのです。確かに、目的を忘れて手段に熱心になることがあります。親父さんは、海の猟師で、魚釣りもベテランのはずなのです。釣竿も何本も持っているのです。それでも、釣れた魚を外してしまうような事を云ってしまいます。



 東日本大震災復興のボランテイアが大勢押しかけて、整理が出来ずに断わっていると、動画ニュースで云っていました。それほど、多くの人達が心配しているのです。そして、その力を充分に活用出来ないでいます。物事には、勢いとか流れがあります。釣れた魚を変な考えで、外してしまう魚釣りのベテランがいる世の中です。ボランテイアの人達がいるうちに、東日本大震災復興を急いで実施したほうが、良いと思うのです。ひとり一日2時間しかボランテイア出来ないとニュースが云っていました。ボランテイアの人達の安全を考えて、お断りしたり、2時間だけボランテイアしてもらっています、とボランテイアの受付、管理人らしき人が言っていました。



 竿を倒してリールを巻くと、竿の先のクッションのような働きが機能しなくて、釣れた魚が釣り針から、外れてしまいます。もし、これからボランテイアを考えている人が、そのような事情を知ったら、ボランテイアをするのを諦めてしまうかもしれません。そうしたら、復興をおくらせる事になると思うのです。



 この間、風俗店に働いていた、女性が育児放棄をして、2人の小さな子供が、部屋で死んでしまいました。そのとき、近所の通報を受けて、区の係りがその部屋を訪ねました。しかし、彼等は部屋に入る事なく、子供の死後に、ニュース会見をしました。



 『だれの部屋だか、分からないんですね。部屋の持ち主が。』



 そのときに部屋に入れば、小さい子供の命は、助かったのかも知れません。マイクの前で眼鏡をかけた、区の職員でしょう。彼にも、小さい子供が食べ物が無くて苦しんでいる姿が見えたら、ドアを蹴破っても入ったでしょう。しかし、、結果は後から、小さな茶色い死体となって、発見されたのです。自分の職業的立場を考えた、規則にのっとった行動は大切です。みんな、それで職業を守って、家族を養っているのです。でも、そのために多くの力を利用できなかったり、寂しい思い出にならないようにお願いします。


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