2011年5月7日土曜日

凄く勝気な故郷のお母さんと、恥ずかしがる娘さん




 『おめえ、言えねえのかあぁ。こんな年寄りが、重い荷物持って立ってるのにぃ。おかあさん、荷物持ちましょうかの、一言があぁ。あああぁー。』
 『無理ですようぉ。お母さん、こんなに込んでいては。』


 朝の通勤電車の中、突然大きな声が聞こえてきました。実にハッキリした話声が耳に入ってきました。何やら、故郷のお母さんのようです。大きな荷物を背中に背負って、満員の通勤電車に乗ってたようです。朝7時~8時頃の東急東横線の電車の中でした。車両の後方連結部分の座席の前にお母さん、娘と一緒に並んで立ってたようでした。車両中程に立っている私には、乗客の姿が邪魔で見えません。しかし、話の内容で一部始終が手に取るように分かりました。そんな車内の事等、我関せずと、ホームに電車が止まる度に駅員が乗客を押し込めてきます。


 重い荷物を持ってギュウギュウ詰めにされて立たされている自分に驚いたのでしょう。足場もうまく取れずに押されている。年老いた体に遠慮なく押してくる乗客。ふっと目の前に座っているサラリーマン、涼しげな顔をしている。年寄りに席を譲る気配なんて微塵も無い態度。怒りが腹の底から湧いてくる。そして、思いっきり、怒りをぶつけました。電車の中のリズムは全然違うものになっていました。テレビドラマや映画を興味津々で見ている観客のような空気です。


 『恥ずかしい。恥ずかしい。』


 そんなお母さんの側で、娘さんが可愛い声で言いました。


 娘がどんな暮らしをするのか、心配で田舎から娘の生活を見に来たのでしょう。安心して田舎に帰る電車で、通勤電車を利用したのでしょう。そして、通勤電車の中で受ける年寄りへの仕打ち。腹立つよね。


 国民と、日本国政府の関係のように似てますね。

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