2011年5月4日水曜日

知らない日本




 『一時帰宅が済むと、放射能の洗浄をします。』

 放射能危険区域に一時的に帰宅出来るように対策をする準備として、予行演習をしたらしいのです。ニュース画面では、放射能を遮断する頭から被る白い防護服に包まれた、人々が並んで放射能の洗浄をしていました。何か、近代的ではない場所で、近未来には起こるであろう事をしているような感じです。シャワーのようなものを、係りの方が一時帰宅した人々に浴びせかけています。

 しかし、考えてみると信じられない光景です。こんな事を誰が予想出来たでしょう。心構えが出来ていないのに、突然放射能と云う危険を生活の中で受け入れる事をです。それは、今後は事前に起こりうるだろうと想定して生活をする必要があるとのサインを、世の中が発信したのです。チェリノブイリ原発事故は、遠い国の事のようで気にもしませんでした。関係者を除いて、日本に住んでいる人達はそうだったと思います。しかし、本当は、身近で日本にも関係する事だったのです。現に、福島原発事故の対応をしている現在、少なからずチェリノブイリ原発事故を部分的に参考にしているはずです。

 かつて、日本の経済は一流、政治は二流等と、テレビ、マスコミが言っていた時期がありました。テレビ画面では、アメリカの自動車メーカで働く従業員が失業の憂き目にあっている姿が映し出されていました。日本車の売れ行きが好調で、アメリカ車が売れなくなったのです。現在、日本の自動車メーカで働いている従業員が同じような憂き目に会っています。冷戦時代が終わり、経済の世界地図が変わったのです。フランスやヨーロッパでブランド品を買い漁る日本女性に批判が高まりました。今、中国の人々が日本で買い物を漁っています。

 少しずつ日本は変わっていました。工事現場で怒鳴り散らしていた、現場監督はいなくなりました。自動車教習所で急ブレーキを踏んで、教習生を脅かしていた教官も都市部ではいなくなりました。NTTの進藤会長、NHKの島会長、実業界、経済界、医師会でも、そのような人物はいなくなりました。

 世界のどこかで起こっている事は、日本でも起こる証明を自分の目で確認したのです。テロの首謀者ウサマ・ビンラーディン氏をアメリカが殺害しました。何か、映画のシーンのようです。これが、日本の現実になったのです。



 

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