2011年5月10日火曜日

溺れている子供を抱きかかえた男の人

 『担架だ!』


 赤い布地をした担架が、2人のプール監視員より駆け足で運ばれて来ました。子供がプールで溺れていたのです。体の大きな男性が、意識のない小さい男の子を抱いて、プールの中をユックリと、監視台の前に進んでいました。黒い水泳パンツを履いた、小学校2年生位の男の子でした。目を閉じ、両手両足がグッタリして、監視台の前に置かれました。監視台に座っていた、赤い十字のライフガードのマークが入った白いTシャツ、赤い競泳用の水泳パンツを履いた、プール監視員の若い男が、監視台から滑り降りました。プールの周りを素足で歩いている、同じTシャツ、赤い水泳パンツ姿の監視員に大声で叫びました。控え室に飛び込み、控えていた監視員と共に、担架を抱きかかえてきたのです。


 ここは、東京の区が設営している室内25mプールです。たくさんの区民が利用しています。小さい子から、お年寄りまで、老若男女が水飛沫を上げてバシャバシャと元気に泳いでいます。そんな中で小さい子が、泳いでいるのか、溺れているのかはなかなか分からないのでしょう。それほど、たくさんの人混みなのです。小さな男の子がタンカに乗せられ、控え室に運ばれていきました。ちょっと、騒然としていましたが、たくさんの人達がそれに、気が付かずにプールで泳いでいます。しばらくすると、誰か男の人が、監視員に声を掛けました。


 『どうだったの。』
 『大丈夫です。息を吹き返しました。』


 何か、ドキドキしました。同じプールで泳いでいた子供が溺れていたことに、心が動揺していました。プール監視員は、日頃は泳ぎや、監視に対する姿勢は、充分に認識していた訓練をしていました。そして、安心できる頼もしい存在感をプールと共に、監視態度で見せていました。彼らにも、そうそうない事なのでしょう。しかし、まあ、それが原因なのか、どうかわかりませんが、毎年監視員の経営母体が変わっています。そして、年々へんてこりんな監視員や、監視体制になっています。


 絶対に事故を起してはならない。そんな管理者の考えが前面に出ている、感じです。屋外プールの水深も、凄く浅くしてしまいました。なんか、段々狭まってくるようです。それが、何か分かりませんけど。内面的な真の安全性ではなく、プール管理者に対しての見せ掛けを、いかにうまく見せるかのような感じです。政治家の政治パフォーマンスに似ています。


 現在、経済的に溺れている人がたくさんいると思います。公団に住んでいますが、たくさんの郵便ポストにピンク色のガムテーヌが張られ、郵便ポストに封をしてあります。家賃が払えなくなったのです。そして、新しい住人が来ないのです。昨日、クリニックで働いているような、女性がこのような事を云っていました。


 『ボロボロなんですね。穴だらけで。下着もタオルも。』


 老人がどこかに入居しているらしいのです。そこの、手伝いをしているような仕事をしている話をしていました。以前、ラジオのニュースで聞いたことを、実際の声として聞きました。夢なら覚めて欲しいですよ。





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