2011年5月19日木曜日

東日本大震災により死んでいく可哀そうな家畜と、小田急デパートの桃色インコを思い出しながら、日本に災いを招くような事をする日本人の行いを考えてしまう。

『わあぁ!』



 ここは、東京新宿にある小田急デパート内のペットショップです。陶器、家具売り場がある広々とした階上の片隅の陰に、隠れるようにあります。頑丈な鍵が付いている丸い鳥カゴの中にいる、桃色インコと顔と顔を、付き合わせていました。何気なく、ちょっと、ひとさし指を鳥カゴの隙間に、置いたのです。すると、鋭い嘴で、間髪を容れずに、私の人差し指を咥えました。思わす声を上げてしまい、慌てて、指を引っ込めました。びっくりしていると、桃色インコが、頭を上下に動かしながら、クックックックと声を出して、高らかに笑うのです。それを見て、私は驚いて、ちょっと大きな声で、云ってしまいした。



 『ああ、笑った。』



 桃色インコが私の声に驚いて、私を不思議そうな目をして見ました。何か、桃色インコと私の間に、意思が通じたようなのです。しばらく、ペットショップの若い背の高い、黒っぽい服装をした、男の店員と、桃色インコを見ながら、飼育状況の話をしていました。桃色インコの目が、私を追い続けています。



 『このインコ、ずっと、一日中、この店の中にいるの?』
 『いやぁ。朝は屋上に連れて行って、日光浴なんかさせているんですよ。』
 『ふ~ん、そうなの。いつから、いるの?』
 『ずいぶん前から、いますよ。』
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 その後、小田急デパートでワイシャツのオーダーや、本を購入する度に、ペットショップの桃色インコを見に行きました。何年経っても、私の姿が分かるようなのです。行く度に、私の姿を目で追っています。桃色インコの購入価格が高いせいか、購入する人がいなく、可哀そうに、何年もペットショップに居るのです。そのうちにペットショップそのものが、なくなってしまいました。



 昔、犬や猫が、家庭や身近な生活環境の中にいました。そして、犬や猫が、人間と同じ仕種をする事に度々驚かされました。猫の手が人間の手のように指が伸びて、ぶら下げてある鰯の体を、人間の手と同じように掴むのを目の前で見たとき、私の目は大きく見開き、得たいの知れない妖怪を見たような感じを受けました。



 お袋さんと、お腹が異常に膨れてしまった、病気の飼い犬の事を話していた時に、ふと振り返ると、病気の飼い犬が、顔を伏せ、真剣に右の耳で、聞き耳を立てて私達の話を聞いている様子を見て、ギョッ、として驚きました。その姿は、まるで人間の言葉、話が分かるように見えました。白い短毛の毛並みに、黒い大小の斑点が体にある、大きな黒い垂れ耳をした鳥猟犬のポインター犬です。






 若い時、夏休みに、久しぶりに田舎に帰りました。天気の良い午前中、青い空の下、おふくろさんが、木立に囲まれた庭に置いてある、鉄格子付きの犬小屋に入っている、真っ白い毛並みをした鼻面の黒い紀州犬のような、大きな飼い犬に、青いビニールホースからジャジャーと、勢いよく出ている水道水を、飲ませながら、言った事があります。



 『笑ってんだ。こいつ。』



 見ると、ピンク色の長い舌を、黒い口元からペロペロと出し入れして、青いビニールホースを口の横から半分咥えるように、勢いよく出ている水道水を飲みながら、なにやら立ち話をしている私達を、横目で見ている大きな顔が笑っていました。



 東日本大震災により発生した、福島原子力発電所事故の放射能検出が原因で、乳牛や、肉牛、家畜が殺される事を知らせるニュースを見ました。心の中に、不条理な感覚が疼いています。心の中で、出来るなら、止めてくれるよう願っているのです。何か、目に見えない力のようなものを、無視して、災いのようなものを招くような気がするのです。裏切りをしてしまったときに、感じるものを感じるのです。そう、そんな事をしていると、私達や、あなた達の番も、必ず回って来るのです。



 ところで、ニュース画面の中の震災者が、白いマスクを口に賭けています。子供も、大人も。放射能を吸い込まないため?


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