2011年5月17日火曜日

何度顔を剃らしても血だらけにして、慌てる表情を見せる綱島の若い男の床屋さん

 『この間も、若い女性が深夜、ドンドン、ドアを叩いて入ってきたんですよ。』
 『へえ~。』
 『それが、すっごい顔をしてるんですね。その女の人。痴漢も、何を考えているんだか。』
 『へえ~。』



 どうも、近所に痴漢が出没している、らしいのです。確かに、人通りのない道の中に、痴漢に注意して下さい、との立て看板がちょっと、傾いて、立てかけてあるのを、おぼろげですが、見た事があります。白地に、赤い文字で書いてありました。若い床屋の主人に、散髪をしてもらい、世間話をしていました。小さなお店で、散髪する席もひとつしかありません。若い奥さんもいて、平和な日本の若い床屋さんです。ここは、横浜の片隅にある、小さな床屋さんの住居の中にある店です。



 『あの床屋、へたくそだぁ。』



 私が住んでいるアパートの持ち主の大家が、世間話の中で、そう云いました。私も、そう思っています。でも、適当な床屋さんが無いのです。近所に。



 その日も顔を剃ってもらい、横になっている椅子を立てました。目の前の大きな鏡に、大きな白い前掛けを、胸にかけた私の顔と、若い床屋さんの顔が映ります。若い床屋さんの顔に、うろたえている表情が現れています。私の顔からは、微かに赤い血が出血しているのです。そうなんです。何度、顔を剃らせても、赤い血が出血してます。その度に、慌てた顔を見せるのです。まあ、これが、日本の床屋さんのレベルです。昔、顔を剃ってもらい、耳を掃除してもらたとき、必ず眠気を誘われ、散髪席で眠ってしまった、あの腕の良い床屋さんは、どこに行ってしまったのでしょう。



 なにかが、日本の社会で壊れてしまったようです。それは、いつの時代でも、あるものなのかも知れません。時の総理、宮沢喜一さんが、家族の誰かに云った事を、娘さんか誰かが、テレビか何かで、放送したものです。うろ覚えなんですけど。



 『どうして、ちゃんとやらないんだ。最後まで。』



 確かに小学校の頃、算数の99をやらされました。スラスラ云える子は、云えますが、なかなか努力する時間が必要です。努力する姿勢、動機、機会、どのように努力したらいいのか、その方法が具体的に分からなければならないのですが、その事実を認めようとしない風潮があります。コストダウン、経済的な配慮、時代や、人間の生活にそぐわないものの考え等です。



 コストダウンは分かりますけど、やり過ぎて、不良品になっている製品があります。経済的な配慮は、分かりますけど、人間として、絶対的に必要なものがあります。自尊心は必要不可欠だと思うのです。何も考えずに、両親が娘さんを叱り付けて、家出してしまう話を聞きます。時代には、それに見合った考えがあると思うのですが。若い床屋さんが、生活に追われて技術を習得できないのか、床屋の学校を卒業すると、誰でも床屋になれるのが良いのか、悪いのかは分かりません。でも、どうなんです。それ。





 


 

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