2020年6月1日月曜日

日本人が日本人に対する不思議な可笑しな態度

 今日の午後である。歩いている通りの角を左に曲がった所に男が居た。男は倒れてカエルのように仰向けに寝ていた。そこは、どこにでもあるようなT字路の交差点だ。黄色っぽいシャツを着ていてシャツの下に着ている白い下着と共にめくれて痩せた体から少しお腹の素肌が出ている。頭は後頭部を根元から青々とした雑草が生い茂っている緑色のフェンスに持たれかけていた。時間は時計の針が午後4時を回った頃だ。平日の午後で人も歩いており車も走っている。季節は初夏で、まだまだ明るい。明るい薄曇り空の下、昨日雨が振った事もあり温度は20度ぐらいで暑くは無い。見ると履いていたサンダルが足元に転がっていて素足だ。買い物をした帰りだろう、白いビニール袋が倒れた体でペッシャンコになり惣菜が入った透明なプラスチックの蓋をした小さなパックが袋からひとつ顔を出ている。年の頃は30代中頃だろう。色白の顔に金属縁の眼鏡をして黒々とした長めの頭髪をしている。灰色の短パンから出ている足を力なく曲げて長々と伸ばしている。目は苦痛もないように休んで眠っているように閉じていた。足には、過去に虫に刺されたような赤黒い小指の先程の大きさの斑点が幾つも付いていた。左手をお腹の上に置き黒い大きな財布を掴んで握っている。

 周りを見渡すと、車が途切れることなく走っていて、自転車に乗って通り過ぎる人もいる。結構交通量や人通りのある通りなのだ。通りの向うのサークルKなるコンビニには、何人かの男が立ち姿でこちらを見ている。すると、自転車に乗った警察官がやってくる姿が目に入った。警察官は、真っ直ぐにこちらに来て自転車を緑色のフェンスに平行にして止めた。

私:『連絡が入ったの?』
警察官:『ええ。』

 警察官は背の高い大きな体をした若い男だ。倒れている男に話しかけると、男は、眼鏡越しに目をかすかに開けて要領の得ないことを言っている。どうも酒に酔って歩いている内に転んでしまったようだ。警察官が男に断ってから男の左手に持っていた黒い財布を開けて所持品の免許書を取り出して身元を調べている。財布には一万円札も5,6枚程入っている。男の右手首に切り傷が何本かあり切り傷から赤い血が流れていた。そして、男の足の爪は辺に盛り上がって可笑しな爪をしていた。足の爪が全て真っ黄色で醜く盛り上がっていてなにがしらかの病気のようだ。普通の爪じゃない。初めて見る可笑しな足の爪だ。

警察官:『仕事は何をしているんですか?』
男:『・・、今は何もしていない、・・・。』

 そうなんだ。いつもこんな風景を見る。転んでいたり、倒れていても、周りの人は何もしない。助け起そうとも、何らかの配慮をしてその場を取り成すこともしない。ただ、見ているだけなんだ。最近と言うほどでもないけど、二度ほどそんな場面を見た。若いお巡りさんは成城警察署から自転車のペダルを踏んで来たに違いない。そうとう距離があるところだ。時間もかかったはずだ。コンビニの店員が客に言われて警察署に電話をしたのだろう。

 一度はお正月の寒い午前中だ。ひとりの男が自転車で転んで倒れている。そして、周りには5,6人の男女が取り囲んでいた。多分、通行人だったんだろう。そして、倒れた男が居るので立ち止まって見ているんだろう。しかし、助け起そうともしない。ひとりの年配の女がひとり大きな声で話している。倒れた男の素性を話しているのだ。そばのアパート住まいの男だと話している。そして、周りの人はその女の話しを聞いている。いつまでもいつまでもそんな調子で話して倒れた男を助け起そうともしない。凍てつく灰色のアスファルトに倒れた自転車の横で身動きしない老いた男は座り込んでただ黙っていた。体が冷えちゃんだろう。

 二度目は、部屋のドアを開け外に出て虹を見たときだ。綺麗な虹が空に架かっていた。そして、顔を通りに戻すと、あれ?、さっきあの辺に歩いていた男の姿がない。すると、人が集まってきた。男は倒れて垣根の中に身を埋めていた。何人か集まって来た。そして、何やら声を出す者もいた。しかし、誰も助け起そうとはしない。見ているだけだ。私も倒れている男のそばまで歩いて倒れている男を見た。そして、助け起した。すると、見物人と化している人達は立ち去った。色々尋ねて聞いてみると、住んでいるところはすぐそこだと言う。男とちょっと話しをした。歳は82歳でリハビリをしての帰り道だと言う。もう、大丈夫だと言うので、男に背を向けて、男と別れた。

 どうなっているんだろう。まあ、傍観者だ。ただ、通り過ぎるだけの人達なんだ。この世の中に来て通り過ぎるだけだ。それが、現代の日本人なんだろう。これで日本の社会がまともなら世話が無い。そんな現在の日本と呼ばれる国だ。日本人じゃない人が統治している日本と呼ぶ国の姿だ。

 令和2年6月1日(月)雨 21℃ 午後21:20 世田谷区より。

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