2020年6月13日土曜日

今現在の日本人


 そういえば、五反田にある大きな系列を持つ会社のひとつで仕事をしていた時、一緒に働いていた男がこんな事を言った。歳は30代前後だろうなあ。小柄で痩せていて何処にでもいるようなどうでもいいような男だ。

 『花を買って家に持って帰って奥さんに渡すと、無駄な金を使うな!、って奥さんに言われて怒られちゃうんだ。』

 そんな奥さんもいますね、しかし、部屋に花を置くと部屋の空気が変わるのは間違いない。若い頃、東京の中目黒の四畳半二階の安アパートに住んでいて、目黒川沿いに咲く桜の木の枝を折って部屋に置いた時には驚くぐらい部屋が明るくなったのにはビックリした。そして、人は忘れてしまうんだろうなあ。ちょっとした事で生活や日々が楽しくなるのをさ。花1本で部屋の空気が明るくなるし、ちょっとした親切や、ちょっとした言葉で愉快になれるんだろうけどさ。

 でも、逆も真なりで、難しい。都会ではストレスが溜まっているからねえ。みんながさ。ストレス社会だ。東京は。ある小さなスーパーマーケットで買い物をして、会計してもらったんだ。そして、会計レジの女性に話しかけたんだ。歳は30代後半ぐらいかなあ。黒いセルロイド製の眼鏡を掛けていた。小柄な体をして痩せていてちょっと前かがみの姿勢をしていた。どこにでもいるようなどうでもいいような普通の奥さん風の女性だ。黒い頭髪をしていた。

 私:『どうですか?、今日は何か良い事がありましたか?』

 すると、その女性、驚いた事に、何か悪事でも働いていて、その悪事が暴かれるのを恐れるような上目遣いの顔を私に向けたんだ。そして、私に、いぶかしげにおずおずとした感じで尋ねたんだ。

 レジ女性:『何故?、・・、そんな事を聞くんですか?』

 そんな返事が返ってくるとは思わなかったので慌ててしまった。

 私:『今日は、何かいい事でもあったかなあっと思って尋ねただけですよ。はっはははは。』

 そして、私は酷く反省しましたねえ。軽口を叩くのをさ。いつも愉快な話しに展開していましたけど、違いました。そして、無声映画のフィルが映写されているような東京の街に思えますねえ。最近はさ。白黒フィルムのようなさ。大変な社会だよ。今、日本は。そして、そんな軽口を叩いて愉快な話しになると、店を出て歩いていると、突然、背後から大きな咳を出す人がいるんですよ。驚かしてやろうと付けて来るんです。そして、頃合を見てやるんでしょう。これ本当なんですよねえ。わっははははは。日本人から会話を取り除こうとしている力が働いているんだろうなあ。意識してそうしているのか、無意識かは知る由もないけど、・・・。

 そんな事を教えてくれますね。

 令和2年6月12日(金)曇り 27℃ 午後14:35 世田谷区より。


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