2009年3月22日日曜日

叩くんだって。




 『アジアの国ではね、小さい子は叩くんだって。』 

 大柄な体と血色の良い顔をしています。そんな彼が言いました。 小さいうちに叩いて根性を入れろ見たいな感じです。

 彼と私はアイスクリームの自動販売機の屋根の下で並んで立っています。彼と話をしたのは、このときが初めてです。お互い雨に濡れています。いきなり雨が降りどしゃ降りになったのです。さっきまでテニスをしていた連中も雨宿りしています。どちらからとも無く話しをし出しました。雨は当分止みそうも無い感じです。 季節は夏です。

『へえー。凄いなぁ。そんな事言うなんて。信じられないよ。』 彼が言います。
『小学校を卒業する時、担任の先生がそう言ったんだよね。』 すぐ上にある自動販売機の屋根から落ちてくる雨だれを見ながら言いました。

 彼は学校の音楽の先生で海外へも良く、先輩の招きでいくらしいのです。その時私の言った事は、小学校を卒業する時、学級の担任の先生が言った事なのです。

『勘弁してくれよ。こんな教育しか出来なくて。』 こう、学級の担任の先生が言ったのです。

 私の小学校の担任は、今思えば、教育会の事を非難して自己弁護をしていると分かるが。現代の教育も迷走しています。学級崩壊、小さな子供達へのグロテスクな性教育。そんな事をテレビ、雑誌で見たり聞いたりしている私は、先生である彼の話を聞きました。そして、そうかあと、思いました。

 分かるんだけど、物事を受け入れる幅、許容量無い、そんな先生ばかりだとまずいよなあ。規則や罰ばかりでは、この世の中はうまくいかないと思うんだけど。

 多分、うまく話せないんだと思うんだよね。だってさあ、日本は、家庭にも、学校にも、会社にも、社会にもあまり会話がないと思うんですよ。そんな会話をあまりしたことが無い人がいきなり説得力のある話をしようとしても底が割れてしまうんだと思います。テニスのラケットやボールを持って練習しない人がいきなり、イギリスのメジャーなウインブルドン大会に出てゲームしたらまずいよなあ。そんな感じがします。

 まあ簡単だからね。生徒や他の人に規則や罰則をしいる事は。受け入れ理解し、説得する事は経験が要ります。しかし、小さいときの私の家庭にも会話はありませんでした。それを今思うととても、寂しい気がするのです。そのような時代ではあったのですが。




旅には新鮮な喜びがあります。旅たつ前の楽しさ。

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