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なにげない日々の暮らしの中で、日本の人々が出逢う細々とした小さな出来事を記述しています。
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2009年3月22日日曜日
金返せえ! 人の金を借りて、金輪際返そうとしない奴
『いやあ~。山田さんにはお金返さないとなあ~。』
そこは川崎の田園都市線と南部線が交差する溝の口駅前の繁華街です。たくさんの人々が歩いています。本当に良く晴れた青空の下の昼下がりを、買い物客、スーツ姿の会社員、大人から子供まで様々な服装をして歩いています。季節は初夏です。
そんな人ごみの中を歩いていたら、声をかけられました。中肉中背の男性が親しげに私に近づいてきて、私の名前を呼んだのです。しばらく彼の顔を眺めていました。にこやかな顔をして私に話しをしています。そうです。思い出しました。以前、近所にあるスーパーの掲示板に、ある有志を集う張り紙を張ったのです。彼が来ました。なんでも、放送関係の仕事をしていて、現在失業中でやる事がないと、言って来たのです。
『ええ!ご飯食べていないのぉ。』
私は驚いて言いました。
『うん。奥さんがご飯食べさせてくれないんだ。』
目線を落としながら、大竹さんが言ました。
『なんでよぉ。』
私が大竹さんの顔を見ながら言いました。
『仕事が無いのでお金をもらっていないからなんだ。』
大竹さんが、とてもいいずらそうに、うなだれて、力なく言いました。
『しかしさあ。それは、ちょっとぉ。』
とまどいながら、私が言いました。
私の家の中、ダイニングキッチンの椅子に座りながら御互いにお茶を飲んで話しました。男の子もひとりいて奥さんが子供の将来を心配して、怒っているらしいのです。
そんな感じで私のところで、大竹さん、ご飯を食べました。凄くお腹ぺこぺこの感じです。
何日か私のところに通いました。ある日の午後夕食を食べに、近所の中華料理屋に行きました。なんでも食べて下さいと、御馳走しました。彼が私の様子をうががう、そんな目をしています。彼が頃合を見て、話を切り出しました。
『山田さん、お金貸してくれない。3、000円ぐらい。』
大竹さんが私の顔を見ながら、言いました。
『いいですよ。』
まだ、彼をどのような人か分からないのですけど、貸してあげました。 軽はずみでした。
それ以来彼に会っていなかったのです。そんな彼が元気に声をかけてきたのです。公共料金を払いに来たと、言っていました。公共料金は払っても、永久に彼は私に、お金を返す気はないでしょう。 なめられたものです。
金返せぇ! こん畜生!
人生は不確かなものです。それを確かなものにするには、快適な生活への願望が最初にあると思います。
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