2009年3月23日月曜日

村上龍の限りなく透明に近いブルーと、限りなく自分自身を喪失している日本の人





 『あれ~。』



 なんだい、今の人は。あほと違うか。



 そこは五反田の切符売り場です。色々な人でごった返しています。サラリーマン、OL、おじさん、おばさん、若者、子供、皆がJRに乗るために切符券売機で切符を購入しようとしています。切符を購入した人、電車から降りた乗客が改札口を流れて行きます。



 ある晴れた春の日の午後に、私もそこに居ました。切符券売機の上にある駅の経路図と料金を見ていました。目的の駅と乗車料金も分かり、目の前の切符券売機にお金を入れようとしました。すると、突然横から出し抜けに、私が入れようとする切符券売機の入金口にお金を入れた男がいます。青いスーツの上着を左の腕に掛けたサラリーマン風の男性です。唖然としました。一瞬の隙をついた早業です。そして、すぐに、そのサラリーマンは立ち去りました。やれやれ、と思い今度は私が切符券売機の入金口にお金を入れる番だと思い入金口にお金を入れようとしました。そして、ふと見ると、そこにはさっき割り込んで入金口にお金を入れたサラリーマンの切符が顔を出しています。やれやれ、お金だけ入れて肝心要の切符を持っていくのを忘れているよ、と思いました。すると、すぐにさっきのサラリーマンが戻ってきて切符を引っ手繰るように持ち去りました。とにかく急ぎたいらしいのです。



 日本経済の構図のような気がします。とにかくGNPだかなんだか国民総生産だかなんだか知りませんけど、その数字を上げたいらしい。それも、急いでね。日本人の生活の内容なんて、全然関係ないです。とにかく数字を上げたい。そんな感じです。



 いざ、肝心要の改札口で切符を出そうとしたら持っていない事に気が付いた。GNPの数字が世界で2番目になった。そして肝心要の日本人の生活に気が付けば、あれ馬鹿じゃなかろ~か。朝早く急いで家を出てきた、ふっと気が付けばズボンを履いていない。パンツ一枚の下半身だ。そんな感じです。



 『二宮金次郎』、『質実剛健』、『巨人長島、大砲、卵焼き』、『もうれつからビューテイフル』、等など良くは知りませんが、色々な考えが、その時代時代にありました。でも、豊かさって?。快適な生活って? どこ。



 日本人って、どこよ。ここは、どこ?




女性の香りにフラフラするときありますね。

0 件のコメント: