2011年6月23日木曜日

いままで飲んでいたワインの意識を変えた、美味しいワインと、今後の日本が行く方向


 『さっき飲んだワイン、美味しかったんだけどさぁ。メーカはどこなの?』



 ドアの外の赤いカーペットを見て、右手で出口のガラスドアの取っ手を握りました。しかし、店外に出る事無く、静かにというか、急に体の向きを変えて振り返り、さっき会計を済ませたレジカウンターの前の板張りの床に戻って、何となく立っていました。ここは、川崎の小田急線の登戸駅にあるトンカツ屋です。登戸は再開発中で、トンカツ屋も急ごしらえで作ったような建物の2階にあります。冬の寒さの中、家路に向かう途中、空腹を覚え、以前食べた事があるトンカツ屋でロースカツ定食を食べたのです。そして、会計を済ませて店を出ようとしました。普通ならそのまま、家路に向かうのですが、ちょっと違いました。先程、食事したときに飲んだワインに付いて定員に尋ねました。販売しているメーカを聞きました。この店で飲んだワインがあまりにも、美味しいので、家に帰ってからメーカに注文しようと考えたのです。



 黄色いテーブルクロスに汚れ防止ビニールカバーが掛けてあるテーブル席の椅子に座り、定員が注文を聞きに来るのを待ちました。そんなテーブルの上に楊枝、塩、胡椒瓶、ソース瓶等に混じって小さなプラスチックのミニスタンドが置いてありました。スタンドは高さ15cm、幅10cmぐらいのコンパクトな商品宣伝用のスタンドです。プラスチックの中には綺麗な写真が挟んでありました。写真は形の良いワイングラスに入っている片側が赤ワイン、その裏側が白ワインで、綺麗なテーブルの上で観葉植物の葉や鮮やかな赤い花と青空が、一緒に映っていました。ワインをグラスで注文できるのです。グラスに入れたワインを飲ませ、一杯幾らで値段を決めているのです。



 『ところで、このワイン美味しいの?』
 『よく注文がありますよ。』
 『そう。・・・ん~、じゃ~、赤を貰おうかな・・・。』



 すると、女性定員が勝手な事を自分の感覚で言いました。



 『私はドライ・・赤の方が好きだわ。』
 『ふうん。じゃ、ドライ・・・赤を下さい。』



 そんな女性店員の言葉につられる様に、赤のドライなんとかなるワインを注文しました。店に置いてあるワインは3種類でした。赤、白、ドライなんとかの赤でした。しばらくすると、ワイングラスに入ったドライ・・・赤のワインがテーブルの上に置かれました。飲食店の食事で飲む事があるのはビールぐらいで、あまりお酒は飲まないのですが、その日は物珍しさも手伝って注文しました。今では普通なのかもしれませんが、以前は飲食店で客がワインを注文するのは珍しい事というか、殆どない事なのです。



 ワイングラスの細いうなじを親指、人差し指、中指3本で持ち、クラスの縁を口に運びました。口に含んだワインが舌の上に乗りました。ちょっと驚きました。何の抵抗もなく味覚が脳髄の神経を刺激します。喉元に流れるワインの感覚も新鮮でした。美味しい。こんな美味しいワインを飲んだのは、初めてです。新鮮な果物を食べてるときに、感じるものでした。そんな事で、ロースカツ定食と、美味しいワインの食事を、楽しみました。



 空腹が満たされ、テーブル席を立って、会計をする為にレジの前で会計をしました。そのときに、レジの脇にある小さな冷蔵庫に置かれている4リットルパッケージのワインを見ました。珍しいワインだと思いました。ワインは、ワイン瓶に入っているとの観念を破るものでした。赤と黄色を基調として、綺麗にデザインされた大きな4リットル入りの紙製ワインパッケージです。オーストラリアのワインで、日本のワインメーカが輸入していました。



 そんな事で、思い出すのは、オートバイ、車製造販売メーカの創立者である本田宗一郎が、日本の役所が作った車の製造基準をなじって言った事がある週刊誌の記事をです。



 『かっこ悪いね。こんな基準で作る車は。』



 日本の一介の技術者である本田宗一郎が、世界に名を馳せたのは、なんだったのでしょう。そして、役所には役所の考えがあり、販売や製造なんて関係ないのです。オートバイが売れようが、車が売れまいが、自分の立場でクレームが来ないように基準を作ったのです。そして、その基準を超えて、世界一のオートバイメーカにしたのです。それは、性能が良いからです。世界のオートバイ野朗が認めたのです。その為に本田は世界一のオードバイメーカになったのです。



 いままで、日本のワインは不味いので、飲もうといった考えはありませんでした。この不味いワインを飲んだら、頭が悪くなってしまうだろうなぁ、と。体が拒絶していました。しかし、早速ワインを近所の酒屋さんに尋ね周りました。結果は時遅しでした。すでに、売り切れでした。インターネットで探しても、ドライ・・・赤のワインは売り切れていました。皆知っているのです。美味しいもの、すぐれたものが何かを。



 やがて日本人も知る事になるでしょう。美味しい生活を含んだ、快適な生活と呼ぶものを。本当の衣食住とは、何かを。あるいは、知っている人は知っているのだと思います。そして、その時期が来るのを待っているのだと思います。しかし、私のような一般庶民には、そのワインのように偶然出会わないと分からないものです。



 以前、天然ガスを輸入している会社に国の機関が言ったそうです。



 『石油資源を輸入している日本が、天然ガスを輸入する意味があるのか?』



 その後、石油ショックが起こり石油の輸入に関する事情が不透明になりました。国の機関が天然ガスを輸入している会社に言ったそうです。



 『大変申し訳ない。』



 国の機関に勤めている人の立場も考えれば分かります。狭い自分達の権限だけの視野の中で判断しなければならないのです。そして、責任ある立場で発言を強いられるのです。でも、そのために進むものが、進まないようになっているのも事実だと思います。そんな事情を考慮して、これから一般庶民も対応した生活をしなくてはならないと思います。ただ、批難するだけではなく、事情を知り回避策を考えて生活する必要があります。それは、当たり前ですが、そうなるように考え、行動することかと思います。議員さんの立場、官僚の立場を考慮した、発言をして始めて、事態が進む事かと思います。何気ない人々の考えが、国を動かす時代になったのだと思います。



 『消費税? こんな不景気で、どうすんだい。ところで、普天間のアメリカ事情ってなんだい?』

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