2011年6月4日土曜日

まともな店が無くなる街


 『今晩は、隣りの店、営業してますか?』
 『いいえ。引越したみたいです。』




 昨日の夜8時前に、近所にある小さな商店街の寝具店を訪ねました。しばらく来なかったので、どこにあるのか、ちょっと探しました。でも、鉄格子のシャッターが閉まっています。シャッター越しのガラスウインドウとドアから、店の中が見えました。照明が付いていなくて、暗い店の中は、なにやら関係ないガラクタが転がっています。半分シャッターの閉まっている、隣のクリーニング店のドアを開けて、店員に訪ねました。女性の店員が応えてくれました。




 随分前ですが、この寝具店で、毛布2枚と、毛布カバー2枚、枕を購入したのです。そして、とても品質の良いものでした。価格も適正な金額で、店も家族で経営していて、しっかりした話方をする人達でした。話の内容は別ですが、ちゃんとした声と話し方で、話をしていました。店の商品は、見れば分かりますが、実にちゃんとしたものばかりでした。この街では、ひょっとしたら、浮いていたのかもしれません。まあ、彼等に聞かないと、本当の所は分かりませんが・・・。




 若い時、ある男の人と出逢いました。アルバイト先で、会ったのです。背が高く、血色のよい顔色をした、同じ歳の人でした。でも、なにかスカスカした人なのです。大学に通うのを目的にしているらしく、浪人生活をしていて、話は沢山するのですが、何か分からないすかしているような人なのです。そんな、彼が肺に穴が開いてしまって、仕事先に来ないので、彼の住む街に、仕事先の女性と2人で見舞いに行きました。そして、何十年後に、今、その街に、私は住んでいます。そして、何故彼が、すかしているような人間なのか分かるような気がします。この街には、何か、実態のない店や人達がたくさんいます。中途半端な数のお菓子を並べた店とか、客が入るには、狭すぎる半端な店とかです。そんな店がたくさんあります。ここは、東京世田谷区ですが、神奈川県の川崎が近くある街です。




 『お客さんでもっと良い毛布がないかと、云う人がいるんです。6万円で良いです。店の責任者はいませんが、私が決めます。』




 彼女が言い切りました。背の高くない寝具店の店員です。多分パートかアルバイトで働いている、奥さんでしょう。ここは、川崎の溝の口にある寝具店です。3人ぐらいの、店員が働いていて、店も結構大きめです。ここに、毛布を購入しようとして入ったのです。ですが、化繊の毛布しか見当たらないのです。




 『羊毛の毛布が、欲しいのですけど。羊毛の毛布はないのですか?』




 そう云う私に、彼女が箱詰めの毛布を出してきました。カシミヤ100%の表示がしてあります。そして、本来の価格は9万円だと云うのです。しかし、なんか部分的に擦り切れていて、とてもお客に販売できるような商品ではありません。そうなんですね。なにか、川崎市とか、川崎市に近い街のせいではないと思いますが、中途半端な考えや、人がたくさんいるのです。結局カタログから、選んで持ってきてもらうことにしました。




 持って来て貰った毛布ですか? 後日家に、若い男の人が毛布を持って来ましたよ。全然色違いの毛布でした。料金を支払い、2枚毛布を受け取りましたけど・・・。




 朱に交われば赤くなる。中途半端な人や街にいると、そうなってしまうのを怖がっています。もう、なっているのかも・・・。日本国も、そうなっているのかも・・・。

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