2011年6月8日水曜日

納得する考えに接するときと、日本人の無意識の感覚


 『子供は、小さい頃に親に、恩を返しているよ。』



 彼が自然な感じで、私を見る事もなく云いました。彼の下を向いた横顔を見ながら、確かに、その通りだと思いました。小さい子供は、無条件に両親を信頼しています。そんな小さい子供が可愛くて、仕事に生活に精を出して生きる事が出来るのです。他に、誰が親であるあなたに信頼と呼ぶ名で、あなたを根底から、揺さぶるってくれますか? 生活に絶対的な力を与えてくれますか?



 いままで、親が子供を育てる恩に、子供は大人になったら、報いるべきだと考えていました。それは、なんとなく、日頃から両親に云われていたこと、テレビドラマや、読み物を読んでいると、なんとなく書かれている事柄から、自然に頭のなかに作られた考えでした。それは、まあ、世の中を動かす、上から下へや、体制からの都合の良い考えのひとつだったのでしょう。そんな、無意識の考えに、真っ向から反対する、彼の考えなのですが、事実を認識する能力のある人であれば、理解できる考えでした。彼は、私よりひとつ年上の、同業者でした。




 私達は、よく無意識に行動しています。インド人が、何の抵抗もなく、毎日カレーを食べるように、フランス人が、食事のときにワインを飲むようにです。日本人が、抵抗なくしている事、遠慮して事実を正確に伝えるべきなのに、はっきりといわない事などです。



 『みなさんのおかげで、何不自由なく生活しています。』



 某国営放送のラジオニュースの中で、東日本大震災の被災地の人が云いました。地域被災者の代表者です。町村の長の人です。その応えに、某国営放送のニュース番組の出演者が、聞きました。



 『今何か必要なものなんてありますか?』
 『今、水道が止まっていて、給水車で飲料水を得ているのですが・・・・。』



 何を云っているのだろうと、思いました。被災地の長の方が、何を思っていっているのかと。水道が止まっているのなら、風呂に入る事も出来ないじゃないかと。さっき云った、何不自由なく生活しているとは、何のことかと考えました。もう、震災から何ヶ月も経つのに、風呂にも入れないのです。そして、それをはっきりと云えないのです。そして、何不自由なく生活していると云っているのです。



 日本国政府が、震災対応に対して、たくさん批難されています。それは、そうなのですが、ちゃんと云えない被災者って、どういう事情があるのでしょう。その事情を報道機関は、報道するべきではないでしょうか? そして、当たり前だと思うのですが、自分達の苦境を正確に伝えることは。税金を、何のために払っているのでしょう。ひとりの同じ国民として、人間としての尊厳があると思うのですが・・・。

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