2009年8月27日木曜日

母親と世界の重要人物達




 『あっ。ここにも居た。』

 心に潜んでいる者を見つけました。東京は大根踊りで有名な農大が近くにある小田急線の経堂駅の近くの本屋さんの本の中に居ました。戦後の写真集のような大きな本を見ていました。そこに、居ました。それは、戦後食料がないときの時代の事でした。お腹を空かした赤ん坊を見ている母親の中に潜んでいました。自分の赤ん坊がお腹を空かしているのを見て、その母親は何を考え思ったのでしょう。それは狂おしい怒りなのかも知れません。そして、行動を起したのです。ある張り紙を街の中に張ったらしいのです。その張り紙には、このように書いてありました。

『朕はおなかいっぱい食べてるぞ。』

 戦後の食料が無い時代の事です。誰も彼もが飢えに苦しみ、赤ん坊でさえも例外ではなく飢えて泣いているときです。そんなときでも、天皇陛下は御飯を食べているとの意味らしいのです。そして、それを見たアメリカの占領者は驚いて危機を感じたそうです。絶対的な日本人のシンボルである天皇を恐れぬ大胆不敵な張り紙の内容です。それは、日本人が日本人ではなくなってしまうとの信号です。生身の人間の姿をした人間になってしまうとのことです。コントロールの出来ない人間の姿になってしまう。そんな恐れから、食料を日本に持ってきたと、その本には書いてあったように思います。天皇陛下であれ、戦勝国であるアメリカであれ、お腹を空かした赤ん坊を思う母親の気持ちを堂々と恐れることなく世の中に問いただしたときには、道を譲るしか方法はないのを知っていたのです。そんな母親の決心の前には世界が道を譲るでしょう。そして、その母親は名もない、どこにでもいるような赤ん坊を抱きかかえた母親でしょう。

 どこにでもいるよう人でも、決心したなら、世界を変える力がこの世には存在する証です。あなたにも、わたしにも、その力は自分自身のどこかに潜んでいて出番を待っているのです。尊厳をもつ人間として。




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