2011年4月26日火曜日

可哀そうな日本の家畜と東日本大震災




 『銀行なんか、間接的な人殺しだよ。』



 どれぐらい前でしょう。彼は、私の顔も見ずに、吐き捨てるように云いました。そこは、私の仕事場です。彼は、私の会社の取引先の営業部長です。彼は、昔のタイプの男で、目が細く、鳳眼というのでしょうか。凄く鋭い眼光をしています。以前国際的な機関が、BIS規制を作りました。何か知りませんが、金融機関の資本率の何パーセントを貸し出し資金とする、というようなものらしいのです。それで、金融機関である銀行が貸し渋りを始めたのです。いままで銀行を信用していた、中小企業の経営者は、大変困ってしまいました。にっちもさっちもいかなくて、倒産する企業が相次ぎました。



 『1日に、100人の人が首を吊っている。』



 ニュース画面で亀井静香議員が、叫びました。中小企業の経営者が経営に困って、借金を返せずに自殺するしかなかったのです。考えられるでしょうか。毎日毎日100人の中小企業の経営者が、首を吊っている事実を想像できるでしょうか。しかし、現実らしいのです。営業部長である彼が、借金取りから、逃げ回っている取引先の話をしました。



 東日本大震災により、福島原子力発電所の事故が発生しました。放射能漏れにより、立ち入りを禁止されている地域の家畜たちが死んでいたり、弱っています。何も云えない動物達です。今まで、人様の役に立ってきたのに、このままでは死ぬ運命が待っているだけなのです。ニュース画面では、白と黒の模様をした大きな、乳牛が動けないように狭い鉄格子の間に首を入れていました。こんな、鉄格子に首を入れている牛の姿を、初めて見ました。こんな可哀そうというか、して良いのだろうか、こんな事と、ちょっと、びっくりして驚いています。



 最近、高原性鳥インフルエンザの為に、何万羽のニワトリが殺傷処分にされました。次から次へと。数羽のニワトリが死んで、検査をしたら高原性鳥インフルエンザが検出されたとして。大量殺傷処分に、ちょっといいようのない感情が大丈夫なのかと、微妙に揺れていました。



 秋になると、北海道や日本の川を故郷とする、鮭が戻ってきます。テレビ画面で見ると、美しくない男達が映し出され、川にもどってきた鮭を根こそぎ捕まえます。雌の腹を裂き、オレンジ色の卵を取り出し、そこに雄の腹を手で絞って白い精子を振りかけます。なんか、あまりにも可哀そうなぐらい機械的に、処理されています。世界の大海原を、生死を賭けて戦い、生き抜いて戻ってきた故郷で、このような仕打ちをされるとは。



 どれぐらい前でしょう。小さな年取ったお母さんと、その娘さんに会いました。顔形と体型がそっくりの母娘でした



 『痛い・・・。』
 『だって、しょうがないじゃない。お母さん。』



 夜中にお母さんが、痛い、痛いと云うので、休み前に医者に来たと云うのです。靴を履かせるために、お母さんの体をちょっと、持ち上げたのです。呻くように、痛みを訴えているお母さんでした。話を伺うと、お母さんは93歳だそうです。下北沢で買い物をしていたら、若い娘さんとぶつかって、腰の骨が折れてしまったそうです。若い娘さんが、云ったそうです。



 『気が付かなかった。』



 牛、ニワトリ、鮭に限らないようです。人も、そのように取り扱われているような気がします。東日本大震災の震災者の姿をニュース画面で見ていると、大雑把な取り扱いを受けているように思えます。物資が届き過ぎているところと、全然こないところがあるようです。また、ゴミのような救援物資を送ってくる方もいるようです。



 それは、物言わぬ家畜や、動物、生き物に対する人間の都合だけを考えている仕打ちに、人間が受け取る因果応報では無いでしょうか。そういえば、最近15歳の少年の各臓器が臓器提供者として、手荷物のプラスチックボックスに入れられて、各病院に届けられましたけど・・・。臓器を提供する、あなたの番が、こないことを祈っています・・・。臓器を提供される人々には、申し訳ないのですけど・・。





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