2011年4月27日水曜日

佐藤さんと、民主党の政策運営




 『ホットケーキ焼いて頂戴。』



 突然、佐藤さんが私に命令しました。何か不自然で、取って付けたような仕事です。佐藤さんの顔に、変な笑いが浮かんでいます。ここは、東京は山の手線の目黒駅の駅ビル最上階にあるレストランです。若い頃、このレストランでアルバイトをしました。駅ビルの掲示板に張ってある、10cm四方の小さな白い紙に手書きで書いたアルバイト募集を見たのです。翌日、普段着を着てレストランを訪ね、女性店長に私の履歴書を見せました。明日から来て下さいと、採用されました。時給~370円ぐらいだったでしょうか。レストランには厨房、カウンター、ホールと管理事務所があり、カウンターの仕事をしていました。コーヒー、紅茶、チョコレートパフェー、ストロベリーパフェーや、白いバニラアイスクリームーを浮かべた緑色のクリームソーダ水等を作っていました。でも、主に皿洗いが仕事の大半でした。



 佐藤さんは、目の小さいお腹の大きな大きな女性です。たくさんの糖分を取りすぎている、といった風貌です。彼女は何時も言いたいことを言って、好き勝手にふるまっています。随分古くからこのレストランで働いているのです。そして、カウンターの仕事が、彼女の仕事です。重要な仕事は、彼女と中村さんと呼ぶ男のカウンター主任がします。仕入れ、ババロア、ショートケーキ作り、ホットケーキのネタの仕込み等などです。それは、いいのですが、2人ともサーバなるアルミニューム製のアイスクリームをすくう用具を使って作る、マロンパフェーとか特製のパフェーを作るのは苦手です。サンプル通りに作れません。ホットケーキも丸く焼くことが出来ないのです。



 なんとなく不思議に思いながら、まんまるのきつね色にちょっと焦げ目をつけたホットケーキを焼いて、黄色いバターと、黄金色のメープルシロップを添えて、白い皿の上に乗せました。そして、一段高くなっているスチール製の銀色のカウンターの上に置きました。ホールで客の来店を待っている黒ズホンに白いワイシャツと黒の蝶ネクタイをした、痩せて背の高い、若いアルバイトのウエイターに佐藤さんが言いました。



 『ちょっと! これ、店長のところに持っていって。』、



 どうも、お客さんが店長に注文したホットケーキにクレームを言ったらしいのです。それで、私にホットケーキを焼けといったのです。確かに、佐藤さんが焼くホットケーキは小さくて、三角だか、なんだかへんてこな形です。誰も佐藤さんには、いいません。たいしたことないと思っているのです。お客さんからしたら、サンプル通りの品物を持ってきて欲しいのですが・・・また、がっかりするとは思うのです。でも、同じ職場で働く仲間意識のほうが大切ですからね。毎日顔を合わせて働いているのですから。みんな生活の為に仕事をしているんですから。それに、本人も出来ないことを分かっているのです。



 『いやだなぁ。これ、持っていくの・・。』



 赤いスカーフと黒い2ピース制服を着た、可愛い女子大学生アルバイトのウエイトレスに、同じくアルバイトの男のウエイターが困った顔をして小さな声で呟きます。



 『いいのよ。何グラムなんだから。規定で決まってるんだから。』



 佐藤さんの耳に入りました。すかさす佐藤さんの声がウエイターに浴びせかけられます。ぶかっこうで、アイスクリームの量の少ないストロベリーパフェーを持って彼が窓際のお客の方に向かって行きます。



 地方選挙で、民主党はまた、負けたようです。菅直人首相も敗北を認めました。



 『全員野球で。適材適所で。』



 菅直人首相が、民主党代表戦を戦ったとき、このように云いました。悪くないと思います。いいよ。ここまでは。でも、その後少しずつずれていっています。ノーサイド、挙党体制も。政治指導も。なにかうまくいっていません。でも、最初から彼の顔に書いてあったような気がします。『うまくいくわけないじゃない。』 ひょっとしたらなんて、チラと期待も頭のどこかにあったのですが。



 しかし、小沢一郎さんの新人議員を何百人も中国に連れて行って、1人ひとり中国の要人と握手させて写真を取るのもへんてこだと思います。話そのものは悪くないのですけどね、小沢さんは。でも、恐怖政治の様相なのでしょうか。民主党内では。



 技術や法律に詳しいだけでは、うまくいかないものなんですね。逆に心がやさしいだけでもだめですね。タフでなければ生きていけない、やさしくなければ生きていく資格は無い。この文句、ちょっと違うとは思うんですけど、いいたいことに近いです。佐藤さんのように、出来ない人もいますよ。民主党だって、そうです。しょうがないもの。出来ないものは。でも、ちょっと気の強い女性に言われそうです。



 『あんた達が選んだんでしょ。あんた達、国民が。』

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