2011年4月27日水曜日

福島原子力発電所事故と台湾のマンション




 『引越そうとしても、経済的なものが許さないのです。』


 マンションの薄暗いリビングルームの白い壁を背にして立った奥さんが、テレビカメラに斜め気味に体を向けて、なんの感情も示さない口調でいいました。台湾のマンションに異変が起こっていることがニュースになりました。マンションに住んでいる妊娠した妊婦が次々に流産してしまうのです。原因を調べてみると、マンションを建設するために使った鉄鋼材が、老朽化して廃棄処分になった原子力発電所を解体した、廃材だったそうです。鋼材から出ている放射能が原因となって、妊娠した妊婦が流産してしまったのです。原因が分かったあとでも、お金がないためマンションに住み続けなければならない住人の現実をテレビ画面が映していました。このニュースが流れたのは、どれぐらい前だったでしょう。


 福島原子力発電所事故によって、半径20kmが立ち入り禁止になりました。そして、東京電力、原子力安全協会、日本国政府は、放射能の怖さをどれぐらい理解しているのでしょう。台湾のマンションを建設した業者が、原子力発電所の廃材だったことを知っていたのかどうかは分かりません。しかし、その廃材を使用してマンションを建設したら、そういう結果になるだろうと分かっていたら、その廃材は使わなかっただろうと思います。また、廃材を売った業者も、放射能を知っていたのかわ分かりません。あまりにも、無責任な業者ではないでしょうか。その為に、生まれ出る子供の命を死なせ、罪の無い人たちの家庭を破壊してしまいました。


 2年前でしょうか。事故米を海外から仕入れ、日本の食料米に混ぜて販売していた業者がいました。そして、検査する政府機関の検査も名ばかりの検査だったことが発覚してしまいました。事故米の流通経路も、なかなか公表されませんでした。体に有害な残留農薬を含む事故米と知っていて、食料米として流通させてしまったのです。それは、会社の経済的なもの、お金の必要性が優先されてしまった事件です。


 人々が放射能に対する知識を正確に知っていれば、放射能に対する対処の仕方も上手に出来るはずです。だが、ニュース報道で聞いたり見たりする知識では、本当のところは分かりかねます。いままで、安全安全の一点張りだったつけがきたのです。人々も質問をして、正確な情報を知らずに来てしまったのです。ニュース画面の中で枝野官房長官が、落ち着いた口調で言います。


 『いますぐに、体に害を及ぼすものではない。冷静に対応して欲しい。』


 しかし、経済的な保障がないところに、冷静な対応はかなり難しいと過去の事実が語っています。むしろ、政府関係者に、もっと冷静になって考えて欲しいと思うのです。事故米の上っ面だけの検査のようではなく、ちゃんと蓋を取って中身まで見た検査をして欲しいのです。隅々まで、検査して日本国民が放射能の知識を知った上で対処出来るようにです。


 『これで、日本の人達も放射能の怖さを知っただろう。』


 ドイツの報道機関が、ドイツ国内で報道したニュースを、インターネットの動画ニュースで見ました。どうぞ、風評被害に負けない、正確な情報を提供して欲しいと思います。立ち入り禁止区域に何故したのかを、明確にしておかないと無断で入る人達がいるはずです。5年、10年したら、どうなるのでしょう。むしろ、政府の対応そのものを、納得するように見せて欲しいと思うのです。もちろん、日本国政府自身、今回の事故で初めて放射能事故の事実を突きつけられたのです。


 しかし、責任と経済的な立場を除くと、日本国政府や、議員さんも私達と変わらない側面にいると思うのです。ですから、かれらに正直に対応してもらうには、経済的な支払いや責任を上手に交わして上げないと、なかなか難しいところがあると思うのです。

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