2011年4月29日金曜日

ローリングストーズと東日本大震災復興




 『欲求不満だぜ~♪ ・・・・。』



 テレビ画面には、イギリスのロックンローラである、ローリングストーンズのボーカル、ミックジャガーがマイクに向かって腰を曲げ体をひねって歌っています。ひと昔前のアメリカのテレビ番組エドサリバンショウで流された映像を日本のテレビ局が放送しているのです。厚手のスーツを着て、長髪のギタリストとドラマーの演奏に合わせて、歌うミックジャガーです。でも、なんか、忙しげに騒がしく歌うイメージを持っていましたが、そうでもありません。窓際のトットちゃんこと、黒柳敵子さんが、いっしょに出演している司会者とメンバーに言いました。少し前に流された放送です。



 『もっと、ギターなんかジャガジャカと騒がしく鳴らすのかと思ったら、そうでもないのね。』



 ローリングストーンズを日本語に訳すると、転がっる石です。音楽ファンなら、誰もがその名前を知っています。今東日本は瓦礫の山です。たくさんの石ころだらけの道や、生活とも呼べない生活が、石ころのような役にも立たない重苦しい空気のようなものに覆われています。そして、この石ころをどけなければ、人々の生活は始まらないのです。見渡す限りの瓦礫と、廃墟と化した石ころのような役に立たない街になってしまいました。



 しかし、私達の日常の生活で、私達を活性化するものは、この石ころだと思うのです。つまらない事のように見える些細な事が、私達の中の何かを正常にしてくれるのです。顔を洗い、歯を磨き、髭を剃るといった日常の些細な事が重要なのです。部屋を掃除し、窓を磨き、床を掃除する。失敗して、悔しがり、うまくいったと微笑むことが、生活に厚みをましてくれるのです。体を動かし、色々なものに出会い、感情や考えや、心を揺さぶられて、自分が生きていることを感じるのです。些細な事を話合って、互いの存在を認め合うことが人間には必要なのです。



 店先で忙しそうに手足を働いている店員さんの顔は、健康的に輝いています。曇った人々の顔の中に輝いている顔があります。それは、炊事洗濯などの家事を毎日している奥さんなんかです。逆に不健康で不機嫌な人達はあまり顔色が良くありません。いつも、些細な事をつまらない事と考えて、不平不満を訴えて、些細な事をするのをなまけているからです。些細な事、つまらないと思っている、石ころを動かすようなことが、いかに健康に生活に良い刺激となるかを知るべきなのです。お医者さんなんか、これを良く言っています。



 『適度に体を動かさないと。』



 しかし、震災を受け、家も家族も仕事も無くして、意気消沈して、途方に暮れて、うな垂れている人々の顔を見て、このような事を言えるでしょうか。自分の赤ん坊を津波に流され、その赤ん坊がどこにいるかもしれずに、テレビの画面で目に涙を浮かべて悲しんでいる、そんな若いお母さんに言えるでしょうか・・・。震災者の方々にも分かっているのです。ただ、今は悲しみや、戸惑いが暗い雲になって、視界をさえぎっているのです。



 静かに見守って、黙って応援したいと思うのです。心の中で、がんばれよ・・・。そして、今の彼らには、がんばりようが無いのです。


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