2011年7月1日金曜日

世の中、声のでかい奴が勝つ


 『○×?▽×□。』



 私はその人の顔を見ました。日に焼けた顔に疲れた大きな目をしていました。体はずんぐりしてガッチリしています。テーブルの上には黒い布袋を置いていました。多分タクシーの運転手さんだと思います。何か私に、話しかけたのです。私には、その言葉が良く聞き取れませんでした。



 そこは、東京の中目黒駅の近くにある小さな定食屋さんです。4人掛けのテーブルが6つあるだけのこじんまりとした店です。彼は壁側の席に座っている相席の見知らぬお客さんです。そして、不思議な顔で彼を見ている私を無視して、店の奥に向かって大きな声で言いました。御飯の入っている容器と箸を振り回して。



 『硬いわ。駄目だ! これ!』



 どうも、食べている御飯が硬いと言っているらしいのです。ガンタ飯って言うんでしょうか?私も同じ御飯を食べているのですが、そう言われれてもピンときません。すると、店の主人らしい眼鏡をかけた痩せた背の高い年配の男性が来ました。洗物をしていたのでしょう。白いビニールの前掛けをしています。そして、タクシーの運転手と思う男性の御飯茶碗に新しい御飯をよそいました。そして、それで全ての事が解決しました。何事も無かったようにタクシーの運転手らしき男性は、定食を食べ続けました。



 『なるほどなあ~。声のでかい奴が勝つんだ。この世の中は。』



 そんな事を考えて、店を出ました。世の中を治める、政治の世界はどうでしょう。確かに声のでかい人が優勢のように思えます。でも、肝心要なのは中身であると願っています。こんな政策を持っていて、このような日本にする。こんな計画でする。と、言った具体的な言葉と実行でしょう。

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