『おう。なんだとぉ。うちの品物にいちゃもんつけるのかぁ。』
ここは、横浜の寝具店です。小さな店で若い奥さんらしき人が、店に居て客の対応をします。でも、なにか片手間に営業しているようなお店です。そんなお店で、毛布カバーを購入しようとしました。しかし、毛布カバーの布地がガーゼで出来ている物ばかりです。そんな事で、木綿で出来た毛布カバーが無いかと、聞きました。すると、店の奥の座敷から、小さなおじさんが出てきました。そして、私に怒鳴りつけるように話しかけました。まあ、喧嘩にもならないような、背の低い小さな、老いたおじさんです。
『でも、このガーゼの生地で出来た毛布カバーだと、一度洗うと、もう使えないじゃない。』
『うん。その通りだ。』
私のガーゼ製の毛布カバーに対する考えを聞くと、すぐに納得して、その後に、一言もなく店の奥の座敷に引っ込んで行きました。考える事をしないのが、日本人なのです。ただ、ただ、誰かの考え、云われた事、問屋から卸された製品を、後生大事に売ることをするのです。それが、どのようなものでもです。結局、その店では、木綿生地の毛布カバーを職人に頼んで作ってもらいました。昔は、毛布カバーはガーゼ生地でしか、生産、販売されていなかったのです。
そんな事で、時代が変わっても、なかなか考える事をしない日本人だと思います。考える事は、話す事と同じ事です。話をしてみて、考えや、話の良し悪しが分かるのです。違っていれば、訂正することも出来ます。しかし、話をする事が出来ない日本人と、日本人を取り巻く環境があります。狭い家や、会社、学校の建物の中では、話す事なく、その場の空気で事情が分かるのです。ですから、話をする必要もなく、その話の先に行くことも出来ずにいるのです。
店の製品が悪かろうが良かろうが、日本の国が間違えようが、先に進めないのです。狭い環境で自己満足している限りは。多分、自己満足が気持ちよくて、痺れて動けないのです。
あるいは、日本人は良い人ばかりと思っているのかもしれません。そういう教育を受けていて、現実を見ないのかも、あるいは見えないのかもしれません。スポーツクラブで会った、弁護士をしているいう、親切でいかにもアメリカ人といった彼の顔と言葉が、頭の中に浮かびました。
『悪い奴いるよぉ。』
多分、日本人には分からないのだと思います。小さな島国にいるので、世界の広さや、世界の現実が・・・。目や頭では分かっても、実際の現実を分からないのです
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