2015年9月12日土曜日

いくら説明しても、言っても分らない人には分からないよ。



 東京は株取引の証券会社がたくさんある茅場町にダイヤモンドビルってのがある。昔、そこに職場があり通っていた事があるんだ。確か、ダイヤモンドビルの4階が食堂になっていて、食堂の一角にそば・うどんコーナーがあった。ある日の昼食時間に、ピカピカ光るステンレスのカウンタに薄ピンク色の蕎麦・うどんの食券を置いて、白い頭巾と前掛けをした肉付きの良い、昔のお姉さんに言ったよ。

 『蕎麦下さい!』

 お姉さんが私の声を確認して、言い返したよ。私にさ。

 『お蕎麦ですね?』

 私もお姉さんの確認する返事に、再び、応えたよ。

 『そう、蕎麦下さい!』

 お姉さん、確認すると、私に背中を見せカウンタから離れて歩いて行ったんだ。そして、しばらくすると、戻ってきて私に言うんだ。

 『お蕎麦ですね?』

 まあ、その声に、私も三度応えたよ。何も考えずにさ。

 『ええ、蕎麦下さい!』

 しばらくして、お姉さんピカピカ光っているステンレスのカウンタの上にプラスチック製の丼を置きましたよ。そして、その薄茶色の丼の中には、茶色のだし汁とと真っ白いうどんが入っていたんだ。そして、私はお姉さんに言ったよ。

 『おねえさん! 蕎麦って言ったじゃない!』

 おねえさん、私の言葉に振り返りながら、言ったよ。驚いたような声を出してさ。

 『あら、そう、蕎麦だったの、じゃあ、取り替えますよ。』

 まあ、面倒かけるのもなんだし、大したことじゃないので、私は、おねえさんに言ったよ。

 『いいよ。まあ、これで、たまにはうどんを食べるのもさ。』

 このおねえさんに限らないよ、これが日本のごくありふれた普通の人だと思うよ。随分前に、地下鉄サリン事件が起き、マスコミ日本中が騒いでいたときに、オーム心理教に次の日、入信した若い女性がテレビ画面にモザイクで顔をマスクされインタビューアの質問に応えていたよ。

 『はい、今日、オーム心理教に入りました。』

 地下鉄に猛毒サリンが撒かれようが、人が何人死のうが、モンサント社が遺伝子組み換え食品を作ろうが、どうなろうがさ。分らない人には分からないんだ。それが、ほとんどの日本人なんだ。

 スーパーマーケットの牛肉パックに貼り付けてある放射能の検査済みってなラベルが、今度は検査済みってなラベルに変わったよ。放射能の文字がなくなったんだ。そう、少しずつマスクしていくんだ。それが、日本人に対する対応なんだ。家畜頭にする為にね。

 平成27年2月12日(木曜日)晴れ 午前00:06 世田谷区より。

 

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