2009年9月1日火曜日

話が滑ってる人




 『は~い! 宜しくお願いしま~す。』

 電話機の受話器から元気な声が聞こえてきます。その声は彼女の周りの対外的な人達を考慮しての話方です。話相手の私の事等、二の次です。そして、彼女が言っている事があまりよく分かりません。彼女自身も分からないで説明をしているようです。FXのインターネットセミナーを受講しました。大変、高額な授業料を支払いました。そのセミナーからシグナル情報がメールで届きました。どのようなものなのか、どのように利用するのかを尋ねる為に電話をしました。夏も終わりが近づいた9月のはじめの晴れた日の午後の事です。

 滑っちゃっています。話が、声が、小さな子供達が公園の滑り台で滑って遊んでいるようにです。頭と顔の周りに蜂がブンブン飛んでいるような感じでお話をしています。アッチ、アッチと言った感じです。聞いていると、やたらうるさいと言った感じで説明を聞く事ができません。落ち着いて話してくれると助かるんだけど。なんか、大変な職場みたいです。声そのものはアナウンサーのようなハッキリした声音なのですが、耳ざわりな感じで話を聞く事が出来ません。ほうほうの体で電話の受話器を置きました。

 そうですね。そうのような環境にいるとそうなってしまいます。狼少年は狼に育てられた為に、人間のようには生きられませんでした。人が人らしく話しをする為には、人が人らしく話せる環境でなければ、人らしく話せないはずです。そんな環境を作るには、人が人である事を自覚しなければなりません。

 まだ、この言葉は生きているでしょうか? 寝て半畳じゃないか、人間は。と言った言葉です。つまり、人間はどんなにあらがっても寝れば畳一畳でしかないと言う意味らしいです。人間が人らしく生きるには畳一畳では生きられないのです。大きな青空が必要であり、たくさんの言葉や食べ物が必要です。人らしく生きるにはです。彼女の話が滑ってしまうのは、そのような何かが不足しているのです。自分に他人にたいする距離であり、思いやりです。対外的な格好だけでは、困ります。

 狭い空間で生きていこうとする日本の人です。畳一畳で足りると思っている日本の人なのです。


 

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