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なにげない日々の暮らしの中で、日本の人々が出逢う細々とした小さな出来事を記述しています。
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2009年9月3日木曜日
無責任に、がんばってくださいと言う人々
『がんばってください。』
『うるさぁあい!』
彼女は、ちょっとびっくっとしたようです。私と仲良しのスポーツクラブの女性インストラクターです。私から何故そのような事を言われるのか分からないのです。我慢にも限度があると思いました。少しずつ積み重ねられていたのです。本当にちょっとづつ、ちょっとづつ積み重ねられていました。チリも積もれば山となるです。そして、堪忍袋の緒が、ぷつりと切れました。
ここは神奈川県の川崎にある結構大きなスポーツクラブです。若い男女のインストラクターがたくさんいます。紺色の厚手の短パンに白やピンク色の半袖のスポーツトレーナーと運動靴を履いた軽装も見ていると、爽やかな感じを受けて、なんか気持ちが和みます。そして、とても気さくに話を聞いてくれます。まあ、商売ですから当たり前ですね。利害関係のない人々がダンベルを上げたり、スクラッチをしていたり、エアロビックスをして朝から晩まで気持ちの良い汗を流しています。
スポーツクラブの受付に会員証のプラスチックのカードを渡します。
『がんばってください。』
受付のアルバイトの女性が、私に言います。
『どうも。』
私も、何気なく応えます。とりあえずロッカールームで着替えをします。すると、男性のインストラクターと顔を合わせます。
『がんばってください。』
私も、応えます。黙っているやり過ごすわけには行きません。
『どうも。』
マットを敷いてストレッチをして、体を柔らかくします。足を広げ、腰を曲げて右に左に屈伸運動をします。たくさんの男女のインストラクターと顔が合います。
『がんばってください。』
私もなにげなく言います。黙っていると気を悪くすると思ってです。
『どうも。』
運動の合間に、インストラクターをたわいない会話をします。会話が終わると必ず彼等は私に言うことがあります。それは、それは、毎度の事です。
『それじゃ、がんばってください。』
運動は毎日しないと体がなまります。毎日、スポーツクラブに行くと、何人ものインストラクターに言われます。それも、同じインストラクターが何度も言います。顔を合わせるたびにです。
『がんばってください。』
スポーツクラブの支配人と世間話をしました。スポーツクラブの会員数の話になりました。
『ここのスポーツクラブの会員数は、現在は4000人ぐらいですね。でも、毎日100人ぐらいの人が退会していくんですよ。だから、キャンペーンをして会員を入会させないと駄目なんですね。』
『ええ! 毎日100人も退会するの?』
『ええ。仕事の関係で引越したり、色々な関係でですね。』
『へえ。そうなんだぁ。』
『でも、がんばってくださいと、言うと会員が退会するのを引き止めることが出来るんですよ。』
なるほどなあ。スポーツクラブのセールストークなんだと納得しました。でもね、毎日毎日、たくさんのインストラクターが顔を合わせる度に言われるんですよ。耳にたこができてる、こっちの身にもなって下さいよ。いやになるよお。お前たちは同じ事しか言えない、物まねをするオームかあ、とね。もっと、なにか違った事がいえないのかあ。ってね。ある日、ある男のインストラクタに頼むから、もう言わないでよぉって言ってみました。
『仕事なんですよ。』
そう言われました。そっか、人が嫌がっているのに、それが仕事だと言います。どうしょうもないです。
昔、仕事先の人に言われました。がんばってくださいと言うのは自分に言う言葉で、人に言う言葉ではないとね。もう、スポーツクラブには行っていませんが、たぶんスポーツクラブの会員の人は今も言われているでしょう。
『がんばってください。』
ラベル:
スポーツクラブで言われる事。
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