2009年9月1日火曜日

お金儲けの話




『それよお。もっと味わって飲めよう。高いんだから、そのトマトジュース。』

 大柄な彼が、私に言いました。ここは、東京の茅場町にある喫茶店です。彼は、私の得意先の社長さんです。国立大学初のプロゴルファーを目指した彼です。でも結局はプロにはなれなかったようです。

『本当に、練習したぜえ。』

 彼から呼び出しがあり、2人で仕事の話をしています。彼が私を良く呼び出して、お酒を飲んだり御馳走を食べたりしています。私には何故なのか分からないのですが、彼に好かれているようなのです。気の合う仲間なのでしょう。彼から見た私は。互いの話の内容に警戒感を持つ事はありません。くだらない冗談が話の大半です。お互いに言いたいことを言いあっています。

『黒酢を売るって言う話があってさあ。こっちの条件を飲んでくれないと駄目だって言ったんだよぉ。そしたらさぁ。その話が通っちゃってさぁ。』

 そんな感じでいつも、お金をいかにして儲けるか。そんな話が私達ふたりの話題です。でも、どちらかと言うと冗談半分です。ひょうたんから独楽を期待しているのが本当のところです。

『F1の車に張ってあるメーカのCM料って2億円ぐらいするんだってね。だったら、私の体にはってくれえ。』

 私も冗談交じりで、お金にまつわる話をします。

『やっぱさぁ。ほら、俺は東京で一応会社を立ち上げて成功している。って話でさぁ。それがあるから、こっちの条件をさぁ。飲んでくれたんだよぉ。』

 そんな話をしていました。そして、ふっと喫茶店のカウンタに目を向けました。カウンタの中にいる2人の男女が身を乗り出して、私達の金儲けの話を聞いている姿がありました。本当に身を乗り出していました。

 やっぱ、世の中金かあ。

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