2009年9月10日木曜日

日本橋での食事と、日本人が作り出す変な緊張した空間と、建物





 『激辛でうまいんですよ。これが。』



 その若い男の人は黒いスーツ姿で、幅のあるしっかりした木目のテーブルに、自分の昼食の料理が載っているトレイを置くなり、椅子に座り、そんな事を左向かいに、向かい合って座っている、白いワイシャツにネクタイ姿で、茶髪の外国の男の人に話し始めました。彼ひとりが元気に話しています。外人さんは黙って聞いているのかいないのか分かりません。若い男の顔を見ること無く、黙々と食事をしています。多分、同じ仕事仲間なのでしょう。私と並びの席なのですが3つぐらい、椅子の席が離れています。



 そして、私達の右斜めには、幅2m、縦1.5mぐらいある、大きな液晶テレビの大画面が床に於いてあり、アメリカの大リーグの野球の中継を放送しています。もちろん、テレビ画面の中では、赤茶色のグランドと綺麗な緑色の芝生の上で、カラフルなユニフォームを着たアメリカ人が、グラブとバットを持って野球をしています。外野を守っている、日本の一郎選手の顔もアップで映し出されました。



 ここは日本橋にある黒灰色をした大きなビルの1階です。聳え立つような、40階建てぐらいの大きなビルです。1階には、いくつかの飲食店が、入っています。二つの自動ドアの左の入り口から入って、やはり左にあるひとつの飲食店に入りました。今日始めて、このビルと、この飲食店に入りました。その飲食店の中には、カウンタがいくつかあり、それぞれの料理を出していました。中華、洋食、サンドイッチ、どんぶりもの、和食等がカウンタごとに分かれていて、カウンタ越しに注文できます。カウンタごとに分かれている、たくさんの料理人が、それぞれのユニフォームを着て、いそがしそうに、手足と口を動かしています。



 『いらっしゃいませ。御注文お伺いします。』



 それらたくさんのカウンタを一回りして、好みの食べ物を探しました。中華料理は、また、離れた厨房とテーブルを持つホールにありました。和食カウンタに並んでいる、秋刀魚定食を食べたいと思いましたが、どうしてかチキンフライ定食を注文してしまいました。多分、魚に使用してあるかもしれない鮮度保持剤の散布を心配してしまったのでしょう。



 カウンタから渡された黒いプラスチック製のトレイの上には、いくつかのお皿とカップがのっています。大きな白い皿にはきつね色の皮付きポテトフライが5、6本、茹でてある一切れの小さな赤い人参と3本の緑色のインゲン、そして程よい大きさの茶色ソースを身にまとったきつね色のチキンフライが目玉焼きを乗せて、盛り付けてあります。中皿には白い御飯を平たくして盛っています。少し油が浮いた薄茶色のスープが入った白いカップと、緑のレタスと一切れの赤いトマトを盛ったサラダが入った小皿。アメリカ映画の社員食堂のイメージのような感じの食堂です。洒落た感じがします。厨房のカウンタ群と、食事をするテーブルが置いてあるホールを分けている壁に立っている、黒い服を着たウエイトレスが食べ終わった後にテーブルに置かれたトレイを下げています。



 カウンタから料理をもらうと、カウンタと反対の後の壁側にあるテーブルの上に備えてあるナイフ、フォークをトレイに乗せて、小さなサラダにフレンチドレッシングをかけました。透明なガラス製の水のみグラスを取り、イオン水なる水を黒いプラスチック製の給水機からコックをひねって音を立てて入れました。気をつけて、トレイを両手に持ち、座る席を探しました。席数には余裕があり、なんなく座れました。ナイフとフォークを動かしチキンと御飯を口に運びます。でも、なんか窮屈な感じがします。回りは、ビル内で働いているサラリーマンがほとんどでしょう。会話もなく黙々としています。それに、天井が低いのでなんか、抑えられている感じを受けます。



 異常な感じがします。黙々と食事をする多くのサラリーマン。もう外人のサラリーマンが普通にいますね。そして、このなんだろ、レストラン風の食堂には、食事の楽しさを見出すことはできません。



 先程の3つ隣の席に座っていた外人さんが食事を終え黙って席を立ちました。それで、話していたサラリーマンの彼も話をするわけにはいかなくなりました。しかし、食事をしていて、どうして気持ちよく食事が出来ないのだろうと思っています。この飲食店には変な緊張感があります。多分、窓も無い天井の低い所に大勢の人間がいること自体が異常なのです。そのためには、天井を高くするなり、吹き抜けを作るなりする考えが必要なのです。日本人の悪いところです。人間を無視した空間にしてしまう裁量の無さです。人も動物の一種なのですから、その辺を少し考慮して欲しいところです。



 季節は夏から秋になる日の頃です。半袖シャツにネクタイをして歩いていても、汗をかきません。爽快な温度です。それにしても、不景気でも、多くの人が仕事を持っていて働いているんだなあ。と、感心しました。

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