2009年9月5日土曜日

日出る国




 『一番良いのを持ってきて。一番良いのね。』

 ある日の正月の事です。母である彼女が冷たく寒い、玄関に置いてある黒い昔の電話の受話器を持って受話器の向こうに居る相手に言いました。何度も何度も嬉しそうに念を押していました。離ればなれになって暮らしている家族である息子や娘が年に一度、生まれ故郷に戻ってきたのです。彼女の赤ちゃん達が彼女の元に帰ってきたのです。そして、そんな家族に最高のもてなしをしたいと思っています。そんな事で近所にある一番良い寿司屋さんに電話を掛けました。日本人の最高の食べ物である寿司の出前を頼んだのです。

 ここは、東京から遠く離れたところにある小さな港町ですが、東京の築地にある寿司屋さんもぶっ飛んでしまうような味と生きの良さが無いと居られないところです。こと商売をしている店で張ったりや建前が通用しない港町です。母である彼女が扱っている家計は、けして具合はいいはずはないのです。でも、1年に一度家族が顔を合わせる、そんなときにどのようなもてないしをしたらいいでしょう。そうです。最高以上のもてなし以外にあるでしょうか。最高以上のもてなし以外に。
 
 どうですか?あなたは、今日の自分に言えますか。自分にあったもてなしを出来ますか。厳しい現実や刺激いっぱいの世界に、今日もしょげながらも、けなげに生きている自分自身に。最高のもてなしを。

 これから日本の国を動かそうとしている民主党の政治家の人に言います。この国は日出国ですね。最高の国にして下さい。この時代に生きている人に、世界中の人に最高の国を見せて下さい。キラキラと眩しい日が昇るような国を見せて下さい。

 サラリーマンの過労死の知らせは随分聞きました。自分を賭けて仕事に打ち込む、命を掛けて目標を達成したい、そんな気持ちの人もいると思います。そんな人達は、本当に素晴らしいと思います。でもね、そればかりではなくて幸福な家族や人々の笑顔をごく普通に巷でたくさん見たいと思うのです。そして強い国でなくても良いと思います。他の国に捕らわれの身の日本の人達を救い出せる、あたりまえの考えと力を持っているならと思うんです。安心して生活に情熱を燃やしている、キラキラと輝く顔をした日本の人々を見たいと思うのです。

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