2009年4月6日月曜日

ファーストフード店




 『彼氏のは、いじめだな。』

 そこは東京の20号線沿いにあるファーストフード店です。そこでアルバイトをし始めました。前回とは打って変わって、様々な指示が私に浴びせかけられます。戸惑い問い返し指示の確認をします。それの繰り返しが、どれぐらい続いたでしょう。若い作業員に混じって年配の私は明らかに違っています。

『今日は厳しくいきますからね。』

 彼氏が言いました。

『仕事ですからね。どうぞ。』

 しょうがないなあと、思いながらも、その声に応える私でした。

 若い作業員達の顔が、笑いを押し隠した顔になっています。しかし、ひとりだけ違った顔があります。私の顔から何かを読み取ろうとしている顔です。なんの遠慮もせずに私の顔を見続けています。本人は意識していませんが、危険なサインを送っている顔です。まわりの空気は健全なものでは、ありません。陰険、陰湿な空気です。若い人達は時として限度を超えてしまうものです。

 彼氏の指示で、ゴミ捨てに後ろからゴミ袋を持ってゴミ捨て場所に行きました。そこで、私が言いました。彼氏が問い返します。

『どうしてですか。』

 その顔は、笑っています。

『感情的になっているからです。』

 私は応えました。

 私達の持ち場に戻ってきました。私は言いました。

『なにも出来ないじゃないですか。私は。お金をもらっているのに。』 

 私達の周りには高温の油が熱せられている揚げ物場、ビーフパテを焼くこれまた、高温の鉄板群。滑りやすい足元。冷静に行動しないと事故になる可能性を持つ場所です。そんなところで分けの分からない指示を受け、冷静さを失っています。注文はどんどん入ってきます。私は声を上げて言いました。

『ぶっつけ本番でやろうとしたの。私は何も出来ないじゃない。みんなの邪魔になっています。』

 ハンバーガ、マックポーク、注文の品物を作っている作業員達の中で、私はトレーナーの彼氏の応えを待ちました。

『いいんですよ。最初は。出来ないのが当然です。』

 彼氏が言いました。

『でも、それだとみんなの邪魔になるじゃないですか。』

 私が言いいました。

 それから、私はひと通りの話をしました。若い人達の顔がばつの悪そうな顔に変わっています。そして、とうとう問題の無いことを彼が白状しました。 いじめが失敗したのです。

『今作業をしている人達と私達は別なんです。今、私達はトレーニング時間で彼らの手伝いをする必要はないのです。じゃあ、勉強しましょう。』

 どうも、会社側は冷静にトレーニングを設定したようなのです。ですが、若い彼らは会社の考えとは別に、ひとつの作業設定をしてしまったようなのです。危険な作業場所も考えない思量のなさにチョット驚きます。それを聞いて私も冷静さを取り戻しました。個人の個性、人種、年齢を差別しないのが私達の強みです。フレンドリーな私達の職場。との謳い文句とは大変な違いです。

 どんなに世間から見られて売れていようと、その実態は違うとの事ですね。人間がしている限り、その実態は同じだと言うことですね。





落ち着きのある家具を部屋に置きたいですね。

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