2011年10月25日火曜日

マレーシアのクアランプールで死刑が確定した日本人女性と、日本人の感覚


 『彼女はスーツケースの中身を知らないで・・・・。』



 マレーシアの弁護士がニュース画面でマレーシア語で話しました。知り合いのドバイ人に、友達のスーツケースを運んで欲しいと頼まれて、運んだところマレーシアの税関でスーツケースの二重底に覚せい剤が隠されていたとの事なのです。マレーシアでは、覚せい剤密輸は一律死刑なのだそうだ。死刑宣告を受けた日本人の女性が、ニュース画面で手錠をかけられた両手にモザイクをかけられた映像が流されました。



 何となく、まさか、大丈夫だろう、のような感覚なのかもしれません。オーストラリアで似たような事件がありました。スーツケースが盗まれたので、代わりのスーツケースを使って下さいと云われ、疑う事無く使用して、やはり税関で捕まってしまった何人かの日本人です。刑期10年を刑務所で過し、出所したとのニュースでした。



 『汚い奴だなぁ。』
 『なんでだよぉ。』



 若い時に、仕事仲間に頼まれ、デパートの和菓子コーナーで買い物をした事がありました。綺麗ではない作業服で、綺麗なデパートの食料品売り場を歩いて買い物を済ませました。買い物を頼んだ仕事仲間に手渡すと、そばの仲間同僚が、買い物を頼んだ仕事仲間をなじりました。自分でする事なのに、人に頼んだことをなじったのです。自分が買い物をしたくないのを、人に頼んだことをなじったのです。確かに、若い私には、作業服で銀座のデパートの食料品売り場に買い物をする事に、ちょっと抵抗がありましたが、人の良さも手伝って買い物をしてしまったんです。断わる理由を探すことをせずに、なんということか、田舎生まれの考え知らずだったのです。



 世間には、たくさんの自分の都合だけを考えてしまう人が居ます。そして、誰もがそうなのです。自分と相手が問題なく過せるように考える事が、出来ないのです。そして、それが出来るのが、大人なのです。日本人には、そんな大人の人が、ちょっと少ないような気がします。それは、家族の中で会話が無ければ、当然大人の考えを持つ事もできないでしょう。



 『友達のスーツケースなんだけど、ちょっと運んでいってくれないかなぁ。悪いんだけど・・。』



 なんと応えたらいんでしょうね。命を賭けた、運び屋でなければ、遠慮しましょう。今度は。

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