2013年9月9日月曜日

 土方をした三日間から学ぶ、日本と日本人の状態



 『入ってないとさぁ~、いらいらするからさぁ~。』


 『でも、満タンですよぉ~。』


 『いいから入れてよぉ~。』


 『ああぁ~、あふれちゃったよぉ~。やっぱり駄目だよぉ~。』



 ここは世田谷区の祖師ヶ谷大蔵にある住宅地です。水道の配管工事をしていました。古い水道管を新しい配管に入れ替える仕事です。8月の後半三日間を、汗の吹き出る炎天下の下でアルバイトしていました。



 早朝8時から、住宅地にトラック3台で乗りつけ、灰色のアスファルトを掘り起こし、新しい水道管を埋めるための準備をしていました。資材や道具をトラックから下ろして、道路の脇に置いて、穴を掘る重機(シャベル車)が来るのを待っている間、準備のひとつとしてエンジンを持つ道具にガソリンを入れていたのです。



 道具のガソリンタンクのキャップを取り、目で覗くまでもなく、ガソリンが溢れています。それで、ガソリンが満タンに入っていると、大きな声で言いました。しかし、それでもガソリンを入れろと言います。もう朝から気温が上昇していて、多分47度ぐらいはあるでしょう。ガソリンの入っているタンクから、皆さんが良く使っている石油等を入れる専用のチューブを使って入れました。当然満タンなので、ガソリンは入らず、溢れます。キャップを閉めながら、私は言いました。



 『みんな、何を考えてんのかなぁ~?』



 もう大変なアルバイトでした。体を支えるだけで精一杯の炎天下の中で、はしの上げ下げを口やかましく叫ぶ大男がいます。嫁が姑にいびられているような感じです。それに、呼応して皆が私に似たような事を言います。当たり前の事が通らない空気です。どもりながら、話す大男が重機に乗り勝手な事を話しています。なんでしょうか、この人は、言っている事に全然責任を持っていません。本当に、余計な事ばかりを言っています。



 やあぁ、本当にガツガツしています。今の消費税増税のようです。まだ景気も良くなっていないのに、消費税を増税しようといている人達と一緒です。何をガツガツしているのでしょう。景気が良くなければ、日本の経済はまっさかさまに落ちてしまいます。景気が良くなるまで待てないようです。イギリスの劇作家シェークスピアがハムレットの中で言っています。大馬鹿野朗は芽がでて、育つまで待てないと。




 私は怒りを込めた大声で、大男に言いました。心の中で、この大馬鹿野朗と罵りながら。




 『落ち着けよ! 今やるところだ。』






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