2013年8月19日月曜日

 小田急線祖師谷駅の商店街を歩く人達の顔を見て、思わず口から出た自分の言葉に、ちょっと自分で驚いてしまう不思議な感覚。



 『今近くに来ているんですけど、隣が魚屋さんでしたよね?』

 『ええ? 隣は花屋さんだよ。赤レンガ作りで会社の看板が掛かってるから、すぐわかるよ。』

 『・・・今、スーパのサミットの前にいますけど。』

 『サミット? 直ぐ分かるはずだけどなぁ~。駅の南口なのよ。降りて、直ぐ左に曲がって、歩いて2、3分のところだよ。』

 『じゃあぁ、反対にきちゃったんですね。すいません、すぐ行きますから。』



 小田急線の祖師谷にある会社を訪ねて来たのですが、どうも道を間違えているようなのです。それで、これから尋ねる会社に携帯電話で道を尋ねたのです。どうも、行き過ぎてしまったようなのです。自転車で来たのですが、祖師谷の商店街の細い道を平成25年8月19日の午後の良く晴れた、真夏の炎天下の中を、たくさんの人が歩いています。そして、車も良く通ります。そんな道を自転車で来たのですが、自転車の向きを反対にして、ユータンしました。そして、しばらく建物を眺めていました。たくさんの見知らぬ日本人の顔が、目の中に入ってきます。そして、なんとなく私の口から、次のような言葉が出ました。



 『日本人って、こんな顔だっけ?』


 
 どの顔を見ても、何かはっきりとしない顔です。目と顔の表情が泳いでいます。そんな顔を見ながら思い出すのは、アメリカ製のワンポイントのポロシャツです。昔、日本で、ワンポイントのポロシャツが流行りました。私が知っているのは、アメリカのゴルフプレイヤーのアーノルド・パーマーが来ていた、傘のワンポイントのポロシャツです。それを、日本のメーカーがワンポイントの傘だけを真似て、ポロシャツを作って売っていました。



 アメリカ製のアーノルド・パーマーの傘のワンポイントのポロシャツは色も素材も素晴らしいものでした。襟や、脇の下も丁寧に考えられた生地を使い縫製されていました。長男が海外で働いていて、日本に帰ってきたときに持ってきたのです。着ていて実に体に自然な感じを人間の感覚に与えました。それに、引き換え日本のアーノルド・パーマーの傘のワンポイントをつけたポロシャツは、ほんとうに見劣りがしました。子供ごころに、こんなにも違うのかと驚かされました。その頃の私は、高校生でした。


 
 日本人も何か、何が本当なのかを忘れてしまったようです。それが、日本人の顔、祖師谷の商店街を歩いている人達の顔に現れていたのではないでしょうか? 今の日本人の住んでいる住居は、本当に人間が住む住居なのでしょうか? 狭く低い天井の部屋に長期間住んでいて、人間の精神に悪い影響を与えないでしょうか? 日本人の食べている食べ物は、本当に人間が食べられる食べ物なのでしょうか? アミノ酸とか、分からない表記が食べ物に貼ってあります。どう考えても、体に悪いような気がしてなりません。



 人間がよりどころにしている物を、大切な何かをなくしてしまったような気がします。昔、戦争が終わり、ある老兵が言ったそうです。



 『老兵は死なず、ただ去るのみ。』 、と。



 しかし、日本人は年老いて、どこに行けばいいのでしょう。行く所があればいいのですが。どうも、家族に囲まれて死ぬことも出来ないような気がするのです。核家族で、無縁社会になってしまっては。アベノミックスですか? 多分、ワンポイントのポロシャツ同様で、偽者でしょう。だから、日本人ひとりひとりが、自分達で家族や生活を豊かにしなければならないのです。それは、本当に人間が、人が、自分が、家族が、求めているものなのかい? と。



 そして、無くしてしまったものは、多分、目的地にたどり着くという、希望と云う名前を持つものでしょう。







 

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