『大盛りね。』
ここは、東京都新宿区の方南町通りに面している定食屋さんです。熊野神社交差点の近くにあります。明るい店内は夕食、夜食を食べる会社員が、しきりなしに入っては、食事をして店を出て行きます。そんな定食屋さんで夜食を食べるために、券売機で豚肉のしょうが焼き定食券を購入して、カウンター席に座りながら、紺の帽子を被った定員にライス大盛り券と一緒に差し出しながら言った。すると、定員がつぶやくような小さな声で、私に言った。
『ライス大盛りは、サービスになっています。この時間は。』
『ああ、そうなの。じゃあ~100円バックだね。ははは。』
カウンター内の定員が、笑顔でいる私に100円玉を手渡した。100円玉をボケットから出した黒い革製の小銭入れに入れて、カウンター席に座りなおしていると、なにやら私を見る男がいる。2人ずれの1人だ。カウンターの向かい側に座っている。何か、じっと目だけを私に向けている。さっきまで、相方と声なき声を出して話していたようなのだが、私が、店員とライス大盛りサービスのやり取りが耳に入ったらしい。
豚肉の生姜焼き定食、ライス大盛りをパクパク食べ始めた私。向かい側の男は、それをジッと見ている。遠慮解釈なしだ。私が定食を食べ終わるまで、探る様な目で見ている。食べ終わり、楊枝を口に咥え、ガラスコップの水を飲んでいる最中も目を放しません。
こんな人を意識したのは、何時ごろだろう。結構います。こんな人。信じられないのかもしれません。人前で、ちゃんとした事をいったり、1人で食事を平気でする人が。最初は戸惑いましたけど、あまりにも、どこにでもいるので、気にするほうが、おかしいです。こんな人達を。
私には、こんな人が病気のような気がします。健康な人の健康が羨ましいのかもしれません。病院で健康を意識しない健康な人の歩く動作や仕種を、食い入るように見るベッドの中の病人のように。
そして、病める人達が、たくさんいます。東京には。俺はおかしくない、普通だって言いながらね。それが、普通の日本人なのかも?
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