2012年10月3日水曜日

11歳の娘を暴行して殺してしまった母親と、私の小さい頃の思い出。


 『しつけのつもりでやった。嘘をつくので。』




 先日、母親が11歳の娘を練習用のゴルフのクラブで殴って死なせてしまいました。それ、以前にも、虐待をしていたようです。服の上からしか、分からないように、虐待の後があると、ニュースでは云っていました。そんな、死んだ娘さんを、何となく小さい頃の私の事のように思いました。そして、なんとなく、無意識に何度も、何度も口から小さな声でつぶやくように言葉にしてしまいました。



 『可哀そうにな・・・。可哀そうにな・・・。』 っと。




 私の両親も、同じような感じでした。自分の思い通りにならないと、気がすまないのです。どうしても、私を家族の中の悪者にしたいのです。本当の事を云っても、面白くないので、ののしられ、けなされ、やじられ叩かれます。小さな子供は、知恵も無くどうしても、嘘をついてしまいます。小さな体を守るために、小さな自尊心を守るために。しかし、けして逃れる事はできません。どうしても、自尊心を傷つけられ、殴られ叩かれます。膝小僧を両手でかかえ、ちいさく体を丸め、絹を裂くような悲鳴を上げていても、決して許してはくれません。それが、親の特権なのか、それが、人間なのです。




 昔、社会人になり小さな花屋さんに勤めました。パッチリとした目と長いまつげを持つ、沖縄生まれ育ちの愉快で、陽気な同僚が言った事があります。



 『社長って、何をしても駄目なんで。』




 そうなのです。小さな花屋さんの社長です。気の済むまで、社員を追い回し、怒鳴り散らさないと気がすまないのです。小さな会社で、ホテルの仕事をしていて、お金は入ってきていたのです。しかし、それを社員である私達には、わかりません。お金が入ってくると、人は偉くなるようなのです。権力と呼ぶ力を、見せたかったのだろうと、思います。




 その花屋さんは、息子の代まで続きません。その花屋さんは、なくなっていました。自然と、私も、両親の顔を見なくなりました。もう、両親は死んでいるでしょう。何度も、自分の心に問いました。そして、彼らから離れた事を、ほっとしています。自分にも、自分自身を守る分別があるのだと、自分を認めています。そういえば、あるとき、私の顔を見ずに、こんな事を云って、私をえらく感心させた人がいました。




 『子供は小さい頃に、親の恩を返しているよ。』




 確かに、そうなのです。子供だけです、両親に無条件で信頼と呼ぶ力を与えているのは。誰が他にそのような力を与えてくれますか? 誰もいませんよ。そして、このような悲しい事件は、今後も決してなくならないでしょう。人間が、この世に存在する限りは。






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